他人事ではいられない!?トランプ大統領就任を控えた今、意識すべき「お金のこと」
自ら「関税男」と称するトランプ大統領
トランプ大統領が、来年1月20日の大統領就任初日に行うと言っていることはSECの委員長の解任だけではありません。大統領1期目の任期中に自ら署名した(!)のアメリカ・メキシコ・カナダ間での貿易協定(USMCA)を、大統領就任初日に破棄し、中国以外の国のすべての輸入品に10~20%、そして中国からの輸入品にはなんと60%、メキシコからの自動車の輸入に至っては100%、場合によっては200%の関税をかけるとまで言っています。 実はトランプ大統領は、自分を「関税男(タリフマン)」と自称するほどの関税好き。関税の引き上げによって輸入を統制し、自国の企業や労働者の利益を守ることに強いこだわりがあります。
輸出の関税引き上げがもたらす影響
2023年の日本の国別の輸出額の第1位はアメリカです。約20兆2,700億円と輸出全体の約20%を占めています。ですから、日本企業にとってアメリカへ輸出する際の関税が引き上げになることは大きな打撃になります。 加えて、日本の自動車メーカーの多くは、これまでアメリカ・メキシコ・カナダ間での貿易協定(USMCA)の恩恵によってアメリカ向けの輸出に関税が優遇されていたことから、メキシコに製造拠点を構え、これらの拠点からアメリカへの自動車の輸出を加速させてきました。それなのに、仮に本当にメキシコからアメリカへの輸出に100%の関税がかかることになったら……日本を代表する産業である自動車産業に陰りが出れば、日本経済全体への影響も少なくありません。
アメリカ産のお肉が値上げになる?
そして、日本政府の対応次第では、私たちの生活にさらに直接的な影響を及ぼす可能性もあります。 実際にアメリカへの輸出に対して10~20%の関税率引き上げが行われた場合、それを止めさせるための戦略のひとつが、対抗措置としてアメリカからの輸入に対しても関税を引き上げること。いわば報復です。 これは私たち消費者にとって、アメリカからの輸入品が10%値上げされることとほぼ同義です。アメリカは日本にとって輸出相手国第1位であるのと同時に、中国に続く第2位の輸入相手国でもあり、小麦・大豆・トウモロコシといった穀物や肉類の多くをアメリカに頼っています。日頃からアメリカ産のお肉にお世話になっているという人はきっと多いはず。 もしも日本政府がこのような対抗策を取らざるを得なくなったときには、ただでさえとどまることを知らない物価高にさらに拍車がかかってしまうかもしれません。