城氏が分析。なぜ森保Jは本気のウルグアイから勝ち点「1」を奪えたのか?
価値ある勝ち点「1」だ。ウルグアイはそこまで良くなかったが、スアレスやカバーニら次元の違うストライカーを擁する本気の相手を最後まで苦しめた。経験値という意味でも意義のあるドローだった。 大善戦を演じた理由は前線4人の存在だろう。0-4で完敗したチリ戦と「4-2-3-1」のシステムは変わらないが、前の4人を上田のワントップ、2列目が中島、久保、前田から、岡崎のワントップ、2連目が中島、安部、三好に入れ替えたことで、4人が非常に機能した。連携したのである。 ボールをキープできるメンバーになったことと、前を向いて動こうという縦への意識が強く、それを4人が共有できていたことが機能した理由。そこにボランチの柴崎がタイミングのいいボールを供給する。板倉の動きは、中途半端でピッチから消えてしまっていたが、柴崎は守備でも貢献。攻撃に切り替わったときに、前線を生かすボールを入れた。だから勢いがつき前へいけた。 前半25分の先制点も柴崎の大きなサイドチェンジからだった。右サイドで受けた三好が積極的にドリブルで縦へ。ペナルティエリアに進入して、ディフェンスをかわして右足でゴールを決めた。 後半14分の2点目となる同点ゴールはカウンター。中島が縦に抜け、追い越した杉岡が、左からクロス。ニアで岡崎が飛び込み、GKがダイレクトにクロスを弾いたが、ゴール前につめていた三好が決めた。岡崎のニアへの動きが効いていたが、崩せたのは「ゴールを奪いたい」という前への強い意識と、崩しの過程でミスが起きなかったことである。 この日のウルグアイは、攻撃から守備への切り替えが甘かった。鉄壁のセンター バックのゴディンがいるため「最後の砦で守れる」という油断もあったのだろう。 日本は、そういう隙を見逃さなかったのである。 2ゴールを決めた三好は、ミスもあり、もっとできたと思うが、ボールのキープ力にドリブルの突破力を兼ね備えたストライカーで、何しろ、さぼらずにゴール前に必ず入っていくという姿勢がいい。ペナルティエリア内で何かが起きることを察知する能力に優れている。さらに経験値を積む必要はあるが、存在感は示した。 ただ日本のオフェンスはせっかく奪ったチャンスをパスミスで潰したり、1対1で負ける場面も目についた。南米の選手のボールを取りにくる深さや、間合いは、一種独特だ。「ここでかわせるだろう」と横へ動いても足が出てくる。ゴディンなどは、ゲームを俯瞰で見て、予測能力が高いため、危険な場所にポジショニングしてボールを出しにくくしてくる。少しでもボールが弱ければ簡単にカットされる。そういう世界でもトップクラスのディフェンダーを相手にした経験は大きい。