【新川優愛】妊活、妊娠中の生命の危機、出産。今だから話せる、母になるまでのこと
■無事に産まれたとき、新しいステージが始まったと感じた ――母子ともに危険な状態から脱し、自宅での静養を経て出産。その時のことを覚えていますか? 新川さん 出産当日の朝は、破水から始まったので、やっぱり不安にはなりました。本当に生まれる瞬間まで、いきんでいるときも……いや、いきんでいるときは痛くて早く出てくれって思ってましたけど(笑)。大丈夫かなあ、と心配していました。正直、心配の種類が変わっただけで、生まれた直後も、今だって心配です。だけど、生まれた時、ひとつステージが変わったんだな、っていう実感がありました。 産まれた日の夜はハイになって眠れなかったです。赤ちゃんは新生児室にいて、それまでお腹の中にずっといたのに……と寂しくて。たぷたぷとお腹をさすりながら、もういないのかあ、と、一人でじっと天井を見て考えていました。 ――大変な経験だったと思います。新川さん自身と、夫婦のパートナーシップと、赤ちゃんと、それぞれの力で懸命に乗り越えた感じがしますね 新川さん はい、これがうちのやり方だったんだな、と思います。生命の危険を感じたり、お仕事を急に休むことになったのは、望んでしたことではありません。でも、しっかりお休みをいただいたことで、母になる前に一人の人間としての時間をゆっくり取れて、結果としてはよかったと思っています。今になってみると「みんな命がけで生きているんだな」とひしひしと感じます。 ■経験を通じて、さまざまな生き方を否定しない社会を望むように ――出産を通じて、新川さんが感じた「みんな命がけで生きている」ということについて、ぜひ詳しく教えてください 新川さん これは私自身の経験で、世の中に本当にいっぱいある妊娠、出産のうちのひとつ。誰一人自分と同じじゃないし、誰もが違う経験や生き方を命がけでしている。そう感じたんです。 例えば、結婚していることが幸せのすべてだとは私はまったく思わないし、一人での人生の楽しみ方があるのも知っています。今子どもがいる人、いない人、ほしい人、そうでない人……子どもが産まれてからも、本当にそれぞれの形があるじゃないですか、誰にでもね。だから「こうあるべき」なんて道、なくない?って思うんですよね。家族でもない、会ったこともない人のことを、ネットでもリアルでも、距離感ゼロで干渉しようとする意見をよく見かけます。いい意味で「ほっとき合う」ことができたらいいのにと、私は思っちゃう。まず自分と違う考えや少人数の意見をおかしいと思わない社会になるのが大事かなと思います。 【新川優愛さん】子育て、夫婦関係、仕事。今だから話せる、母になってからのこと〈インタビュー後編〉へつづく モデル、俳優 新川優愛 1993年生まれ。埼玉県出身。10代の時より芸能活動を始め、「Seventeen」「non-no」「MORE」「BAILA」など数々の雑誌の専属モデルとして人気を博し、俳優として、映画「老後の資金がありません!」(21年)、NHK 連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」(22年)などに出演。バラエティー番組、舞台、CMなど幅広く活躍。西武ライオンズファンとしても知られる。2024年7月11日スタートの ドラマ「クラスメイトの女子、全員好きでした」(NTV/YTV系)に出演が決定している。 トップス¥41000/TEKI 080-3576-0926 スカート¥33000/ボウルズ(ハイク)03-3719-1239 撮影/松岡一哲 ヘア&メイク/河嶋希(io) スタイリスト/辻村真理 取材・文・構成/久保田梓美