2025年大学入試から「歴史総合」の有無で、受験校選びに大きな影響 早慶の併願が困難に
高校では2022年度から新学習指導要領がスタートし、その1期生がいよいよ大学入試に臨みます。新課程に合わせた問題に改まることで、入試はどう変わるのでしょうか。「歴史総合」を含めるかどうかで、併願校選びに大きな影響があり、受験地図が一変します。受験事情に詳しいアロー教育総合研究所所長でルートマップマガジンの田嶋裕副編集長が注目点を解説します。(写真=Getty Images) 【写真】出題傾向で大学が2グループに(図=田嶋さん提供)
新課程で学習量が増大
2025年の新課程入試の特徴は、「受験に必要な学習量が格段に増大した」といえます。大学入学共通テストの試作問題を見ても、英語は受験に必要といわれていた3000語を大幅に超え、4000~5000語になっています。国語は法律の条文や契約書の文面といった実用文が出題され、「情報」という新教科も加わります。その結果、国公立大の受験生は、最大でこれまでの5教科7科目から、6教科8科目の勉強をすることになります。 そのようななかで、最も大きく変わった教科が地理歴史・公民です。というのも、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられたことに合わせて、公民の代わりに「公共」という新科目が登場。また、これまで高校の社会では選択科目だった「地理」が、「地理総合」という必修科目になりました。 さらに、「歴史総合」が登場します。これは日本史の近現代史と、世界史の近現代史を合体させて、日本は世界とどう関わってきたのか、世界で起きた出来事は日本とどのように関係しているのかを時間的・空間的つながりの中で考える科目です。 この「歴史総合」が、私立大の受験生の動向に少なからぬ影響を与えると見られています。ある予備校講師によれば、「この科目をきちんと教えられる教員は、まだ少ないというのが現状のようだ」とのこと。ある都立高校の教員は、「日本史の教員も世界史の教員も、専門外のことを教えなければならない。授業の進行に失敗し、1910年の『日韓併合』までで1年間の授業が終わってしまった。残り100年分の補習をするのが大変だった」と話し、現場の混乱ぶりがわかります。