【40代、50代・更年期の不眠悩み】骨密度が低いと血管や内臓にまで悪影響が? 生活習慣病、特に気をつけたいのは糖尿病!
骨粗しょう症になっても骨折さえ気を付ければ大丈夫、と思ったら大間違い。実は、動脈硬化や腎臓機能の低下、糖尿病、筋肉量の低下にまでつながってくるという。産婦人科医の吉形玲美さんに解説してもらった。
Q. 骨粗しょう症になると何が起こるの?
A. 骨密度と骨質の低下は臓器に影響が出るので、生活習慣病の引き金に。 「古い骨を壊して新しい骨をつくるサイクルを『骨のリモデリング』といい、女性ホルモンがこの仕組みに大きく貢献しています。 骨のリモデリングは、血管や腎臓、膵臓(すいぞう)、脳、脂肪細胞などの臓器とも関連しているので、骨が健康になるとこれらの臓器も連動して健康になることがわかっています。そのため、動脈硬化や糖尿病、慢性腎臓病、肥満などの多くの生活習慣病は、骨を健康にする薬を用いると、その恩恵も受けることに。 また、骨密度の低下は動脈硬化、腎臓機能の低下にも影響があり、特に気をつけたいのが、糖尿病。糖尿病になると骨質が悪化して、骨が折れやすくなるリスクも。更年期からは骨と各臓器はセットで考え、早いうちから予防を心がけると、健康寿命を延ばしていくことにつながります」(吉形先生) ※骨粗しょう症予防の検査と薬については《 【40代、50代・更年期の基礎知識】骨粗しょう症予防に必要な「骨密度」「骨代謝」「ビタミンD」の検査はいつはじめる?対策は?》参照。
●骨と臓器との関連
骨をつくる骨芽細胞から分泌されるオステオカルシンは、骨の形成を促進するとともに筋肉を増やす働きを持ち、膵臓や脳、脂肪細胞の機能を改善する働きも担っている。
ビタミンD不足や酸化・糖化ストレスを原因とする骨強度(骨密度、骨質)の低下と動脈硬化は連動している。
①骨細胞が分泌するホルモン(FGF23)は腎臓を健全に保つ。 ②骨密度が低下すると腎機能も低下する。
骨密度の増減と骨格筋の量は連動している。 引用:『40代から始めよう! 閉経マネジメント 更年期をラクに乗り切る、体と心のコントロール術』(吉形玲美/講談社)
【教えてくれたのは】 吉形玲美さん 産婦人科医、医学博士。浜松町ハマサイトクリニック特別顧問。大学病院で医療の最先端に立ち、女性医療・更年期医療のさまざまな臨床研究にも数多く携わる。女性予防医療を広めたいという思いから、現クリニックへ。更年期、妊活、月経不順など女性の体のホルモンマネジメントが得意。著書に『40代から始めよう! 閉経マネジメント』(講談社) イラスト/内藤しなこ 平松昭子<アイキャッチ> 構成・原文/井尾淳子