「松葉ガニも岩ガキも絶品」 石破総理「鳥取自慢」を語る
石破茂新総理がもっとも力を入れるべき政策として繰り返しているのが「地方創生」である。これは今回の総裁選用のものではなく、長年、主張してきたもの。「地方創生担当大臣を務めたからだ」といった解説をするコメンテイターや政治記者もいるのだが、これは少し正確さに欠けるかもしれない。幼少期を鳥取で過ごした石破氏にとって、「地方」は常に正面から向き合うテーマだったのだ。 【この記事の写真を見る】石破茂の眼光の鋭さは父親似? 娘は2人「石破家の家系図」も
その「鳥取愛」が伝わってくる文章をご紹介しよう。多感な中学生時代、一人砂丘に座って、目の前に広がる光景をただ眺めていた――というエピソードからはどこかその後の「徒党を組まない性格」を連想させるものがある。(以下、石破茂著『異論正論』より抜粋・再構成。データは2022年刊行時のまま) ***
私の「お国自慢」
地方の潜在力を活かすべきだ、というお話を何度かしてきました。そこで今回は難しい話は抜きにして、私が中学生まで住んでいた、そして今も毎週のように帰っている地元、鳥取県の魅力についてお話ししてみたいと思います。 簡単にいえば「お国自慢」ということになるのですが、たまにはこういう気楽な話もお許しいただければ幸いです。 鳥取県の良いところって何ですか。 そんなふうに聞かれた場合、真っ先に「景色の良さ」を挙げます。 山陰海岸国立公園の海の美しさは素晴らしいものがあり、沖縄にも匹敵します。アピール下手なので、「鳥取の海が綺麗」というイメージを持っていらっしゃらない方も多いかもしれません。しかし透明度では全国でもベスト3に入るといわれるほどなのです。その美しさは私の少年時代から変わっていません。 その国立公園にあるのが、有名な鳥取砂丘です。家から自転車で25分ほどの距離ということもあり、中学生の私は、ほぼ毎日、砂丘を見に行っていました。連休の時期や夏休みの時には、多くの人で賑わうのですが、それ以外の時はあまり人もいません。何ともいえない寂寥感のある風景が広がっています。 その寂寞たる風景をただ30分ほど眺めて家に帰る。そんな日々を送っていました。中学に入ると、国立大学の付属ということで近所の友達がいなくなったことも関係していたのかもしれません。暗い中学生だな、と言われそうですが、この光景は本当にお薦めです。