「松葉ガニも岩ガキも絶品」 石破総理「鳥取自慢」を語る
「お国自慢」のすすめ
ここからは「ぜひ鳥取県に住んでみてください」という気持ちで書いてみます。 20代、30代の方で田舎暮らしに憧れつつも、地方で生きていけるのかご心配の方も多いかと思います。しかし有効求人倍率はコロナ禍においても1.5を超えており、この数年を見ても一貫して全国平均を上回っています。現在、地方のほうがおおむね有効求人倍率は高い傾向にあります。 もちろん、賃金は都市部のほうが高いのですが、住居費、光熱費等々を差し引いていって実際に手元に残るお金、使えるお金という観点で見た場合、鳥取県は全国で8位です。 全国を遊説などで回った実感として、この8位というのはそんなに意外な順位ではありません。鳥取に限らず、地方の方の顔を拝見していると、地方の持つ豊かさを感じることは少なくないのです。 こうした実感とは裏腹に、中央のメディアではよく、地方が廃れていることが伝えられます。シャッター商店街の光景が映され、人がどんどんいなくなっていく、お先真っ暗、という感じで番組や記事が作られる。 もちろんそういう面があることは否定しません。私が子供の頃、とても賑わっていたまちの商店街もシャッターを閉めているところが多くあります。かつての賑わいが嘘のようです。ただ、これは郊外に大きな商業施設ができたことなどが関係していて、人が集まる場所が移ってしまったから、ということも原因としてあります。もちろん、商店街もまた活気ある場所に戻ってほしいとは思いますが、この姿がそのまま地方の実体のすべてを反映しているとは思わないでいただきたいと思います。 もう少し「勧誘」を続けさせていただければ、人口当たりの小児科医師数は全国で3位(1位は徳島県、2位は東京)、産婦人科医師数は1位です。 治安の良さも抜群で、殺人事件が年に3~4件という年が続いています。もちろん人口が少ないから、というのも理由でしょうが、それだけではないとも思っています。ほかの自治体では、人口のわりに事件の多いところもあるからです。 通勤時間の短さも特筆すべき点でしょう。平均が20分以下で、大都市圏の半分以下です。当然、その分だけ自由になる時間が多くなります。これから人生100年といわれる時代になりますが、それでも手元にどれだけ自由になる時間が残るかはとても大切なことではないでしょうか。 最初から最後まで、お国自慢をしてみました。もちろん、これは鳥取県出身者の意見にすぎず、多分に身びいきが含まれているのでしょう。読者の皆さんにはそれぞれの誇るべき地元があるかと思います。そうした気持ちを持つ方がどんどん増えていき、それぞれの地方が元気になっていくことを心から願っています。 *** 地方創生に対して冷ややかな見方を口にする人は少なくない。都市生活者にとっては、ピンとこない面もあるのだろう。ここでも触れている中央のメディアの中には、地方を下に見ているような伝え方も珍しくない。「東京にはこんなに楽しいことがある」という情報がテレビでは大量に流される。多くの場合、地方は「たまに行くところ」であって、住むところではないように扱われる。 しかし、石破総理に限らず、地方での生活を経験し、さらにその栄枯盛衰を見てきた者にとって、地方創生はまさに切実なテーマ。こうした認識のギャップを埋めるのもまた総理の仕事なのかもしれない。
デイリー新潮編集部
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