全国初の性被害者「ワンストップ支援センター」 存続の危機に
性被害者の治療やカウンセリング、裁判手続きに関する相談などを1カ所で行う「ワンストップ支援センター」が各都道府県に置かれている。このうちの一つで、全国で初めて設置された大阪の拠点「性暴力救援センター・大阪SACHICO(サチコ)」が、存続の危機に立たされている。 SACHICOは2010年4月、大阪府松原市にある民間医療機関「阪南中央病院」の一角に設けられた。病院の外来患者らと被害者が顔を合わせなくても済むよう、専用の診察室や相談室を用意。緊急避妊薬の投与や性感染症の定期的な検査のほか、カウンセリングや刑事・民事の法的手続きの相談も受けられる。24年3月までに3722人が受診した。 しかし、阪南中央病院の産婦人科医らが、働き方改革の影響でSACHICOでの診察時間を確保できなくなった。センターに対する公的支援は十分ではなく、医師らの人件費も病院側の持ち出しで病院経営の負担になっていた。こうした事情から、SACHICOは25年3月で病院から退去するよう求められている。 24年に入ってSACHICOは阪南中央病院の協力での診察ができなくなり、被害者には府内の別の10病院を訪れて診察してもらっている。存続を願うグループの要望を受け、大阪府は有識者らによる会議で今後の拠点のあり方を決める考えだ。 娘が性被害を受けてSACHICOを利用したことがある女性(60)は「過去の私たちと同じような境遇の人が、当時と同じサポートを受けられずに苦しむかもしれない。安心して相談でき、質の高い支援が受けられるような体制を整えてほしい」と訴える。【斉藤朋恵】