【AE86が電気自動車に!?】しかもマニュアル車! 学生ライターが謎のEVを取材
――マニュアルEVの駆動系がなかなか想像できないのですが、具体的に、中身はどのようになっているのでしょうか? エンジニア:一般的なマニュアル車のエンジンがモーターに置き換わっただけです。クラッチもミッションも付いています。今までエンジンで作り出されていた回転が、モーターによって作られているということです。 ――内装を見るとロールバーが取り付けられていて、シートもフルバケットシートになっています。「AE86 BEV Concept」はスポーツ色をより強めたクルマに仕上がっているのでしょうか? エンジニア:ロールバーに関しては、EV化するために中古で仕入れてきた個体に元々ついていたものです。内装もなく、いわゆる「ドンガラ」のクルマでした。AE86は見てカッコいいというクルマでもありますから、タイヤもホイールも、皆さんがよくご存知のアニメで装着しているものになっています。さらに、今回の「AE86 BEV Concept」は通常時よりも車高を下げてあります。
――バッテリーをトランクに搭載していますが、EVではなかったクルマにバッテリーを積むにあたって何か苦労した点はありますか? エンジニア:最初からEVとして開発したクルマであれば、ボディをEV用に設計できるので、バッテリーは床下に搭載できます。しかしAE86は、当然ながらEV化を前提に開発したクルマではないので、床下にスペースがありません。そのため、トランクに置くしかありませんでした。 ――バッテリーにレクサスのロゴがありますが、レクサスが採用している電動化技術を流用したのでしょうか。 エンジニア:このバッテリーユニットはレクサス「NX」で使っているものです。今回のAE86のEV化もレクサスの開発チームが担当しました。
「AE86 BEV Concept」からはトヨタ/レクサスのクルマに対するこだわりが感じられました。 トヨタ車などのサブスクを手掛けるKINTOでは、新「AE86」のレンタカーを展開しています。ユーザーからのフィードバックをもとに、AE86EV化事業の可能性を探っているそうです。 昔のクルマのEV化がトヨタ/レクサスのビジネスとして具体化すれば、たくさんの旧車ファンにとって朗報となるのは間違いなさそうです。
森藤幸士