「小さいころ車いすを速く漕ぐと、危ないと怒られた」車いすラグビーの若きエース、橋本勝也の競技との出会い「死ぬまでやれるとピンときた」
至近距離のパラリンピアン17
東京2020パラリンピックを機に品川区につくられた「日本財団パラアリーナ」。車いすラグビー日本代表の錚々たるメンバーが集まる体育館だ。チームメイトと切磋琢磨するガッツあふれるプレーを見せているのが橋本勝也選手。チームの核となることが期待される若き次世代エースだ。 闘志溢れるプレーが魅力の橋本選手
車いすに乗れば、無我夢中でラグビーできる
先天性の四肢欠損で、左右の手指は2本ずつ。3歳で太腿から下を切断した。以後車いすでの生活が始まり、ラグビーとの出会いは中学2年の夏だった。 「だれがこんなスポーツ考えたんだろう!」激しいぶつかり合いに驚いた。「タックルがすごくて、比較的障害の重い選手ばかりやってるし、本当に大丈夫なのかなと」だが実際に乗ってみて、そんな気持ちは消し飛んだ。「あ、なんだ行けるじゃん、って」 「小学生のとき、みんな足で速く走っていて、なので自分も車いすを速く漕ぐと危ないって怒られました。もちろんぶつかるのもダメ。だけど競技用の車いすに乗っちゃえば、全速力で走ってもタックルしてもOK、っていう環境にすごく刺激されました。全員車いすに乗っているので、何も意識することなく無我夢中でラグビーに専念できる。その非日常感が味わえるのがよかったです」
死ぬまでやれると“ピンときた”
すぐに夢中になった車いすラグビー。始めた時から世界を意識していたという。「スポーツをするのであれば、やっぱ一番を狙いたいっていう思いはありますね。この競技が自分の障害に合ってることがわかってきたし、これなら僕も世界一になれるのかなと」 これほど没頭できたものはそれまでなかった。 「ラグ車に乗ったときにピンとは来てたんですよ。この競技だったら長く続けられそうだなって。今まで僕って、何をしても3日坊主だったんです。でも、あっこれは本当にたぶん、死ぬまでって言ったら大げさかもしれないですけど、長く続けられそうって感じたんです」そして笑顔を見せる。 「それにやっぱ、タックルしたときに『すっきりするなー』『ストレス発散になるなー』っていう快感もありますね」