自閉症児が親の声に耳を傾けるようになる「会話の前のワンクッション」
多くの自閉症児は、耳から入る情報を処理するのが苦手です。褒めても子どもが無表情でいるというお悩みをよく聞きますが、それは情報が処理されるまでに少し時間がかかるだけ。実は脳の奥にはしっかり届いていて、肯定的な声かけを3カ月続けていると、次第に目が合うようになったり、表情が明るくなったりという変化が現れてきます。自閉症の子の場合、最初のうちは「無反応が大前提」というくらいの気持ちで、根気強く肯定的な声かけを続けていきましょう。 ポイントは“すでにできている行動“に注目することです。 私の娘はよく、朝起きて服を脱ぎ、リビングにゴロンとしていることがありました。以前は「まだ着替えてないの?」「早くごはん食べて」とできていないことにばかり注目してイライラしていましたが、肯定的な声かけを実践しはじめてからは「もう起きたのね!」「自分で1階に下りたんだね!」「もうパジャマ脱いだんだね!」というように、すでに終わった娘の行動に注目して話しはじめるようにしました。 とはいえ、どうにも褒めるところがないこともありますよね。例えば、なかなかテレビを消してくれないとき。私は「早く消しなさい!」といきなり指示するのではなく、「テレビ見ているね」と娘が“いま“している行動に注目したり、「コケコッコーってニワトリが鳴いたね」とテレビに映るキャラクターについて見たままを楽しそうに話しかけてみたりしました。
今川ホルン