人気のアドベンチャーバイクとは? ツアラーモデルとホイールサイズがなぜ違う?
1978年から開催されているこの競技は、砂漠や泥濘地、山岳地帯など、あらゆる路面をバイクやクルマで走破することで、「世界一過酷なイベント」として知られています。 毎回、年末から年始にかけて2週間以上行われ、猛暑の中で1日の走行距離が800kmを超えるときもあるほどハード。ライダーやドライバーの体力はもちろん、車両にはさまざまな悪路に対応する幅広い走破性、長距離走行でも壊れない高い耐久性などが求められています。 そして、そうした過酷な競技で培った技術を市販車に投入したのが、アフリカツインやテネレなのです。 これらモデルがアドベンチャー(冒険)バイクと呼ばれるのは、そうした「世界一過酷なラリー」という、ある意味「冒険」ともいえる競技で鍛えられたワークスマシンたちの技術などがバックグラウンドにあるため。オン・オフ問わない高い走破性や長距離ツーリング時の安定性や利便性など、先述したアドベンチャーバイクが持つ特徴の礎(いしずえ)となっているのです。 ちなみに、パリ-ダカールラリーは、かつて、フランスのパリからアフリカ大陸へ渡り、サハラ砂漠を通過、セネガルの⾸都ダカールをゴールするルートをとっていました。その長くて険しいルートを称し、通称「パリダカ」と呼ばれ、世界中で広く親しまれたのです。 現在は、開催地域の政情不安により、中東・サウジアラビアでの開催となりましたが、大会名には「ダカール」の名前が引き継がれ、いまだに世界中で多くのファンを魅了しているモータースポーツのひとつとなっています。
スポーツツアラーとの違いは?
このように、元々は、ラリー参戦マシンをベースに、公道で走行できるように市販化したのがアドベンチャーバイクの始まりだといえます。 一方、スタイルは似ているのに、メーカーが「スポーツツアラー」など、別のジャンルに入れているモデルもあります。 例えば、ヤマハのトレーサー9 GTと上級モデルのトレーサー9 GT+。888cc・3気筒エンジンを搭載するネイキッドモデルの「MT-09」をベースに、電子制御サスペンションや高速道路などでアクセル操作をしなくても設定速度で走行できるクルーズコントロールなどで、長距離ツーリングでの快適性を高めたモデルです。 ほかにも、ホンダでは、CRF1100Lアフリカツインと同じ1082cc・直列2気筒エンジンを搭載するNT1100を「ツーリングモデル」に分類しています。 また、745cc・直列2気筒エンジン搭載のNC750Xをホンダは、「クロスオーバー」というジャンルに分類。さらに、998cc・直列4気筒を搭載し、2024年1月に発売された新型GSX-S1000GXも、スズキは「クロスオーバーバイク」と呼んでいます。 これらも、スタイル的には、大型のフロントスクリーンなど、かなりアドベンチャーモデルに近いことは確か。では、なぜ差別化されているのでしょうか?