人気のアドベンチャーバイクとは? ツアラーモデルとホイールサイズがなぜ違う?
スポーツツアラーなどが前後17インチを採用する理由
対して、先述したスポーツツアラーやクロスオーバーバイクでは、多くのモデルに前後17インチのホイールを採用しています。 これは、スーパースポーツやネイキッドなど、ロードスポーツモデルの多くが採用しているサイズ。舗装路での旋回性やブレーキ性能、高速道路など高い速度で巡航する場合の快適性などに優れているサイズとして、こちらも今では一般的となっています。 そういった意味で、スポーツツアラーは、あくまでオンロードで走ることを最優先し、舗装路でより軽快なハンドリングや乗り心地の良さを追求しているといえます。 なお、クロスオーバーバイクの定義ですが、こちらは、各メーカーでちょっと考え方が違うようです。 例えば、NC750X。このモデルについてホンダは、ロードスポーツモデルとしてのハンドリングを維持しながらも、アップライトなポジションや大型フロントスクリーンなど、長距離ツーリングでの快適性を出すために、アドベンチャーバイクのスタイルを採り入れているといった感じのようです。つまり、ロードスポーツとアドベンチャーのミックスということで、クロスオーバーと呼んでいるといえます。 また、GSX-S1000GXについて、スズキは性能面でも「スポーツツアラーとアドベンチャーを融合させた」モデルだといいます。 GSX-S1000シリーズの高性能な998cc・直列4気筒エンジンを搭載しつつ、ツーリング性能を向上させる新技術と装備を採用したのがこのバイクです。
特に、スズキ車で初採用となる電子制御サスペンションシステム「SAES(スズキ アドバンスド エレクトロニック サスペンション)」や、凸凹路面を検知し、サスペンションの制御量を自動で切り替えるスズキ独自のプログラム「SRAS(スズキ ロードアダプティブ スタビライゼーション)」などは、オフロード走行にも対応。これらにより、未舗装路での振動を抑えたスムーズな乗り心地と、オンロードでのダイナミックなスポーツ走行を両立するといいます。 おそらく、前後17インチを採用するGSX-S1000GXは、オンロードはもちろん、例えば、フラットなダートなどでも高い走破性を持つといえます。対して、フロント21インチとリア18インチのテネレ700やCRF1100Lアフリカツイン<s>などは、よりハードな悪路走行にも対応。また、フロントが21インチから19インチとなったCRF1100Lアフリカツイン アドベンチャースポーツESでは、よりオンロードの快適性をアップしているため、ちょっとクロスオーバーバイクに近づいた仕様になったといえます。 ちなみに、カワサキがアドベンチャー/ツーリングに分類する前述のヴェルシス1000SEやヴェルシス650も、ホイールは前後17インチ。なので、どちらかといえば、スポーツツアラーやクロスオーバーに近いモデルであるといえるでしょう。 また、これも先述したスズキのVストローム250も、同様に前後17インチのホイール。アドベンチャーの要素を取り入れたVストローム・シリーズのなかでも、オンロードでの快適性や乗りやすさを重視したモデルだといえます。
どんな道も走破できる幅広い対応力が一番の魅力
いずれにしろ、アドベンチャーバイクは、どんな道でも走ることのできる幅広い対応力が一番の魅力です。長距離ツーリングはもちろん、例えば、最近人気のキャンプでも、アドベンチャーバイクに乗ったライダーを見かけることも増えました。 キャンプ場には、途中の道がぬかるんでいたり、未舗装路のダート道があるところもありますが、アドベンチャーバイクなら、そんな道でも楽に走ることができます。また、オフロード走行のスキルとその気さえあれば、例えばハードな林道なども走破可能。 こうした多様なタイプのバイク旅を楽しめるアドベンチャーバイクが、今後も世界的に高い人気を維持することは間違いないでしょう。
平塚直樹