「朝食抜き」が心筋梗塞やがんにつながる…最新「時間医学」でわかった驚きの事実
ただ「栄養を摂る」だけじゃない
人の体内時計の周期は24時間よりも少し長いので、放っておくと少しずつズレていきます。そこで人間は、日光や食事などによって毎日、体内時計の周期を24時間にリセットする必要があります。食事は体内時計をリセットし、体内リズムを環境の変化に合わせる因子の一つ。特に前日の夕食から翌日の朝食までの絶食時間が10時間以上だと、朝食による体内時計のリセットは強力に行われます1)。 【写真】医者が明かす「痛い死に方ランキング」ワースト50 成長期の子供のみならず大人にとっても、健全な体内リズムを保つため「早寝早起き朝ごはん」は重要ですが、この「早寝」には十分睡眠を摂ることの他に、「夜食を摂らずに10時間以上絶食する」という意味合いも含まれています。 たとえば、朝食を午前7時に摂る時は、前日の夕食は午後9時までに終えることが重要です。また、夕食後に仕事を続け、寝るまでの間に夜食を摂る方も多いと思いますが、その場合は夜食を摂り終えた時刻から絶食時間が始まるため、翌日の朝食を午前7時に摂ったとしても体内時計は十分にリセットされず、注意が必要です。 このように「早寝早起き朝ごはん」を実践し、かつ、朝食までに10時間以上絶食することによって健全な体内リズムが保たれますが、逆にこれが乱れると健康に悪い影響を与える恐れがあります。
遅い夕食が深刻な病気につながる
午後8時以降に食べると糖尿病になる恐れのあることが、健康な人を対象にした研究で明らかになりました2)。 その実験では、対象者は、日を変えて、同じメニューの食事を午前8時、午後8時あるいは午前0時に摂ります。この生活をしばらく続けると、血糖値および血中インスリン濃度は午前8時に摂取した時よりも、午後8時や午前0時に摂取した時の方が高いことが示されました。 血糖値および血中インスリン濃度が高いことは、つまりインスリンが効きにくい(インスリン抵抗性が高い)ことを示しています。午後8時以降に夕食や夜食を摂ると、インスリン抵抗性が増すために高血糖が続き、その結果、糖尿病になりやすくなるものと考えられます。 近年、日本では糖尿病患者が著しく増えており、その要因として食生活の欧米化に伴う過食が挙げられますが、カロリー摂取量はむしろ減少しています(厚生労働省:国民健康・栄養調査;1950年―1日2098kcal、2014年―1日1863kcal)。 カロリー摂取量が減ったにもかかわらず糖尿病患者が増えた理由の一つとして、社会全体が夜更かしするようになった結果、午後8時以降に夕食を摂る人の割合が増えたことが考えられます。したがって、夕食をなるべく早い時刻に食べることが、糖尿病の発症を防ぐコツです。