「ゲームをする前に宿題しなさい!」では動かない…子どもに気持ちよくイエスと言わせる「うまい声かけ」
資料を今日中に仕上げてほしいのに、部下に忙しいと断られてしまう。ゲームをする前に宿題をしてほしいのに、子どもが言うことを聞かない……。そんなとき、相手を無理やり動かそうとしても、思い通りに動いてはくれないもの。著書に『感情的にならず相手を「すぐやる人」にする34のコツ』がある、メンタルコーチの大平信孝氏が、科学的に「人を動かす」とっておきの方法を教える。 【一覧】入ると“損”する「私立大学」ランキング…コスパ最悪だった意外な名門大学
子どもに宿題をやってほしいときは
たとえば、子どもに宿題をやってほしいとします。 放課後、ゲームに熱中している子どもに対して、「ゲームをする前に宿題を終わらせなさい。いつも言ってるでしょ!」と叱る。お子さんがいる方なら一度はこんな場面を経験されたことがあるかと思います。 もしかしたら「毎日です」という方もいるかもしれません。 そのとき、「はい、わかりました! 今すぐゲームをやめて宿題をやります!」と言われたことがあるでしょうか? 残念ながらそんなケースは皆無でしょう。 たいていの場合、「今いいところだから、ひと区切りしたらやるね」「いちいち言われなくても、ちゃんとやるから放っておいて!」「うるさくてゲームに集中できないから、あとにして」「これが終わったらやろうと思っていたのに、ガミガミ言われてやる気がなくなった!」と、結局宿題は後回しになってしまいます。 これでは双方がイライラするだけで、なんの解決にもなりません。イライラが積もり積もった親の言葉は徐々にキツくなり、それに比例して子どもはどんどん不貞腐れる。結果的に、宿題をやらずに翌朝を迎えることもあるでしょう。 私自身も2人の男の子の親ですから、以前はこんな葛藤を抱え試行錯誤してきました。
コミュニケーションはキャッチボール
そんな毎日を脱却するヒントをくれたのは、コーチング界の草分けである、伊藤守さんの「コミュニケーションはキャッチボール」という言葉でした。 先述の「ゲームをする前に宿題を終わらせなさい。いつも言ってるでしょ!」という声かけは、「キャッチボール」と言えるでしょうか? これは「ドッジボール」です。自分の言いたいことを一方的に「投げつけ」、「言いっぱなし」で終わっているからです。 ちょっと想像してみてください。ゲームに熱中している子どもに、いきなりボールを投げつけたらどうなるでしょうか? 相手は驚くでしょうし、ボールをとれるわけがありません。 相手がとれないボールを投げつけているわけですから、「ドッジボール」になってしまうのです。 相手に動いてほしいなら、ボール(言いたいこと)を受けとってもらうための「キャッチボール」をする必要があります。 やることはとてもシンプルです。ボールを投げる前に、「これからあなたに向かってボールを投げますよ」と予告する、もしくは「キャッチボールしませんか?」と誘って、相手の同意を得てから話せばいいのです。