幸運を呼ぶ新年の菓子ガレット デ ロワ、「当たり」が出たら王様に 日本一シェフの逸品
連載《hotel TIPS》Vol.29
編集長がホテルのおいしいものや楽しみを探しに行く「hotel TIPS」。新年を迎え、心が浮き立つこの時期、ぜひ紹介したいと思ったのは、誰もが幸せな気分にひたれる甘やかな一品です。お目当ては、フランスで新年をお祝いする場に登場する有名な伝統菓子「ガレット デ ロワ(王様のガレット)」。 【1分動画・写真はこちら】美しい模様とおいしさの秘密がわかる「ガレット デ ロワができるまで」を動画で シェフは何を語る? 近年、日本の洋菓子好きの間でもポピュラーな存在となり、あちこちのパティシエが腕と個性を競い合うようになりました。そうした中で、アンダーズ東京(東京・港)が「和」を主題にしたユニークな商品をお披露目すると聞き、期待を膨らませながら訪れました。
■パイ菓子に忍ばせた「王様」選びの仕掛け
ガレット デ ロワとは、アーモンドクリームを包み込んだパイ菓子で、通常は表面に美しい植物模様が描かれます。正式には1月6日の「エピファニー(公現祭)」の際に家族で切り分けていただくのがならわしです。 最大の特徴は、1ホールの中にフェーブ(ソラマメ)と呼ばれる小さな陶製の人形を一つ忍ばせていること。ホールを切り分けて自分に配られたピースの中に、このフェーブが入っていた人は見事大当たり。その場で王様となり、祝福が訪れるといわれています。 「パイ生地とアーモンドクリームというシンプルな素材だからこそ、シェフの好みが出やすいお菓子といえます。時間とともにおいしさが変わっていくのも特徴ですね。焼きたてはパイ生地が最高においしいですし、1日寝かせるとアーモンドクリームの味わいに深みが出て、パイ生地となじんでこれまたおいしい。食べ比べてみると作り手のこだわりや味わいの違いがよくわかり、好みの味を見つける楽しさもあると思います」 ガレット デ ロワへの思いを熱く語ってくれたのは、アンダーズ東京のペストリー スーシェフ、片田健二郎さんです。片田さんは2022年に日本で開かれたガレット デ ロワのコンテストで優勝し、2023年のフランスのコンテストでも3位に入賞した実力者です。 片田さんが情熱を傾けるこだわりのガレット デ ロワは毎年、多くのファンをとりこにしていますが、店頭に並ぶのは1日10ホールだけ。というのも、同ホテルでガレット デ ロワを作ることができるのは片田さんただ一人で、「クオリティーを守りたいのでこれ以上は作ることができないのです」。 2025年1月に初めてお目見えするのが、アンダーズ東京がホテル全体で表現している「和」のイメージを取り入れた「ガレット デ ロワ・抹茶&ココ」です。従来のクラシカルなガレットに「和」の抹茶と「洋」のココナツを加えました。