“契約打ち切り”の危機を乗り越えて…ラグビー・麻生典宏選手が最愛の女性に語った「プロポーズの言葉」とは
プロポーズ前に危機が……
そんな危機をも乗り越え、典宏さんは今年4月28日の練習試合後に求婚しようと考えた。ホテルを予約し、バラも108本買った。 ところが練習試合の前日、典宏さんの耳に契約打ち切りの話が聞こえてきた。 その夜、由愛さんに「契約が切られるかも。明日が最後の試合になるかもしれないから見に来て」と伝え、翌朝はチームのGMの元へ赴いて「(契約は)この試合で判断してほしい」と直談判。後半から試合に出場すると、スクラムで相手ペナルティーを三つ取るなどし、「リコーに来てからベストな試合ができた」と自負するにいたった。 その思いが典宏さんを奮い立たせた。試合後の夜、プロポーズがあることは分かっていた由愛さんに「断ってもいいからね」と前置きし、スクラムでは何があっても屈しない膝を地面に着けて指輪を見せ、こう告げた。「首をけがしたときも由愛の言葉に助けられた。時間がかかるかもしれないけど、諦めずにラグビーをやり切る。幸せにするから結婚してください」。由愛さんは泣きながら「はい」。 練習試合の活躍を見た、普段世話になっている採用担当者やコーチらが推してくれたおかげでチームにも残れることになった。まさに二重の喜びである。 目下、典宏さんの目標は今季の公式戦出場だ。「結果を出したい。残してくれたコーチらに恩返しするためにも」。由愛さんへの愛の力が、これからも典宏さんを強く後押しするだろう。
「週刊新潮」2024年8月29日号 掲載
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