NVIDIA、インドでAI開発者10万人のトレーニングを完了 「ソブリンAI」構築に向けた動き着々
インド主要IT企業、約50万人の社員にAIトレーニング
インドのIT産業は大きな構造転換を迎えており、奇しくもこの状況がAI人材の増加を加速している。 インドでは従来、海外企業向けにITサービスを提供してきた。しかしAIの台頭により、その立ち位置が変わりつつあるのだ。企業が必要とするのは単なるITサービスではなく、AIを活用したビジネス変革のためのコンサルティング。実際、IDCの調査では2023年のインド国内IT/ビジネスサービス市場は145億ドル規模に達していることが明らかになった。こうした市場の変化に対応するため、インドのIT企業各社は大規模な人材育成プログラムを展開、これがAI人材の増加に寄与している。 主導するのは、Infosys、Tata Consulting Services(TCS)、Tech Mahindra、WiproといったインドのIT大手企業。各社は、NVIDIAとの提携を通じてAI人材育成を加速、その対象者は約50万人に上る。 各社の具体的な取り組みを見てみたい。まずInfosysは、NVIDIAとAI卓越センターを設立し、従業員のトレーニング、ソリューション開発、企業全体でのNVIDIA技術採用を推進。一方、TCSは、自動車、製造、通信、金融サービス、小売など、さまざまな業界向けソリューションにNVIDIA AI Enterpriseソフトウェアを採用し、すでに5万人以上のAI人材を育成しているという。 Tech Mahindraは、NVIDIA AI Enterpriseを基盤としたTech Mahindra Optimized Frameworkを提供。同社は4万5,000人以上の従業員をAI習熟度フレームワークを通じてトレーニングしている。また、Wiproは従業員の大半にあたる22万5,000人以上をトレーニングし、顧客のAI関連要求に応えられる体制を整えている。 各社は従業員だけでなく、大学や研究機関の学生/人材へのトレーニングにも注力しており、AI人材プールはさらに拡大する見込みだ。たとえばWiproは、インド工科大学デリー校との生成AI卓越センターの設立や、インド科学研究所(IISc)とテクノロジー修士プログラムなどの取り組みを進めている。 この先インド発のAIモデルが世界市場を席巻するシナリオもあるのかもしれない。
文:細谷元(Livit)