意外と知らない、最盛をほこっていた「着メロ」「着うた」はなぜ廃れたのか
「着メロ」「着うた」はなぜ廃れたのか
極めて消費者から好意的に受け入れられており、一大市場を築いた「着メロ」「着うた」はなぜ廃れていったのでしょうか。要因を一つひとつ考察していきます。 ■「配信」が主流のスマホの普及 そもそも、着メロや着うたはガラケー向けのものとして登場したサービス。そして着メロや着うたは「購入し、端末に保存するものである」という特徴があります。この「購入し、端末に保存する」というコンテンツの在り方は、配信が瞬く間に拡大したスマホ時代にはそぐわないものとは言えるでしょう。 「スマホの普及」「4Gや5Gに代表される高速通信の浸透」を見据えたストリーミングサービスの代表格には、2008年に誕生した「Spotify」が挙げられます。国内ではSpotifyの普及は遅かったものの、海外では早くから「購入」ではなく「配信」で音楽を楽しむ視聴スタイルが定着しました。
日本国内に目を向けると、ニコニコ動画やYouTubeなどの動画配信は比較的早く普及しました。これらの動画配信サービスは、間接的に「音楽配信」の役割を担っていたと言えるかもしれません。00年代後半~10年代にかけてニコニコ動画でボカロ楽曲にハマった方も多いのでは?
音楽配信、動画配信のいずれも「配信」であることには違いがありません。配信がコンテンツの楽しみ方として主流になる中で、端末に音源を保存する必要がある「着うた」の不便さが際立っていった可能性が高いです。 なお平成14年版の情報通信白書には示唆的な一文があります。それは「インターネット配信されるコンテンツを利用する際の意識が、コンテンツを購入・保存するというよりも、コンテンツを借りる(「レンタル」)感覚に近い」というもの。 「購入に近しい着うた」ではなく「レンタルに近しい配信サービス」に人が流れたのは、インターネットでコンテンツを楽しむ時代においてはごくごく当たり前だったのかもしれません。 ■4G回線の普及 4G回線(第4世代移動通信システム)は、2010年にNTTドコモが「ドコモLTE-Xi(クロッシィ)」として開始したもの。他キャリアでも瞬く間に4Gサービスが開始され、それまでの3G回線よりも大幅に通信速度が向上しました。 通信速度の向上を背景に、3G回線の時代と比べ、スマホでYouTubeやニコニコ動画といった動画配信サービスを楽しむ人が増加しました。 これらの動画配信サービスは無料で利用でき、なおかつ端末への保存が不要でストレージを圧迫する心配もありません。逆に、ストレージを圧迫し、なおかつ一曲ごとにお金がかかり、音声しか楽しめない着うたは魅力が薄れた側面があるでしょう。 ■「ケータイサイト」の存在感が急激に薄れた