AI PCは通常PCとどう違う?--NPU市場やWindows/macOSの動向解説
NPUの性能はどうやって分かるのか NPUの性能は「TOPS」(1秒間に何兆回の演算を実行できるか)で測定され、この数値がNPUの事実上の指標になると考えられている。 例えば、Intelでクライアントコンピューティンググループ担当のバイスプレジデントを務めるTodd Lewellen氏はTom's Hardwareにおいて、MicrosoftのCopilotをクラウドではなくローカルで実行するには、最低でも40 TOPSの性能を持つNPUが必要になると述べている。 つまり、ユーザーは特定のプロセッサーの性能を調べるために仕様書を詳しく調べることに慣れる必要があるということだ。例えば、AMDの「Ryzen AI 9 HX 375」「HX 370」「HX 365」におけるTOPSはそれぞれ55、50、55を達成しているのに対し、「Ryzen 9 8945HS」は16にとどまっている。 Intelチップについても同様の注意が必要だ。「Core Ultra 9プロセッサー288V」のTOPSは最高48だが、「Core Ultra 5プロセッサー245KF」は13しかない。 Qualcommの「Snapdragon Elite X」チップも登場しており、同社の「Hexagon NPU」は45 TOPSの性能がある。 結論から言えば、NPUのパフォーマンスが重要であれば、プロセッサーの仕様書に精通する必要があるだろう。 全く異なる比較ではあるが、Appleの「M4 Pro」チップのNPUには38 TOPSの処理能力がある。 AI PCに期待されるパフォーマンス ベンチマークを実際の数値に置き換えるのは難しいが、Intelは同社のCore Ultraチップが異なるワークロードのもと、競合他社(この場合はAMD)と比較してどの程度のパフォーマンスを発揮するのかについてデータを公表している。 AI PCを製造している企業 Dell、Lenovo、HPなどのOEM大手は、いずれもAI PCシステムを展開しており、NPUを搭載したIntelやAMDのプロセッサーを採用している。 しかし現在、最大のAI PCメーカーはAppleである。新型MacはApple Intelligenceに対応しているだけでなく、M1搭載ハードウェアまでの旧型Macでも、幾つかのApple Intelligenceツールを利用できる。 「Windows 12」はどう関わってくるか 「Windows」製品のリリースほど、消費者と企業がハードウェアを買い替える契機になるものはない。そのためPCメーカーは、「Windows 12」がAIに注力することを期待している。 ヒントやうわさが本当であれば、AIは新しいWindowsリリースの重要な要素になるだろう。Microsoftは同社の集中型AIアシスタントCopilot(旧Bing Chat)の機能を拡充し、WindowsとAppleのmacOSにおけるギャップを埋めることにつながるだろう。 既存のAI搭載PCのWindows 12との互換性 Windows 12のシステム要件に関する公式発表はないが、現在のAI搭載PCはMicrosoftによる多くのフィードバックを基にOEM各社が構築したものであるといえる。 では、AI搭載PCを購入すべきだろうか Macユーザーの場合、全ての新しいハードウェアはApple Intelligence対応なので、決断は下されている。購入する準備は万端だ。 Windowsユーザーの状況はややはっきりしない。WindowsベースのAI PCの真のポテンシャルが明らかになるのは、Windows 12が展開される時ではないかという意見もある(2025年後半にリリースとの予想がある)。結局のところ、ハードウェアを最大限に活用するツールが初期段階にある今、ハードウェアに投資することは必須ではない。 とはいえ、「Windows 11」の最後の大型アップデートである「Windows 11 24H2」では、Microsoft Copilotのランタイムレイヤーおよび多くのAI活用アプリや機能が導入されたことは念頭に置くべきだろう。つまり、AI搭載PCを利用する上でWindows 12を待つ必要はないといえる。 新しいPCの購入を検討しているのであれば、AI機能を備えたものを選ぶのが賢明だろう。将来性の観点に加え、ビデオ通話の背景をぼかしたり、長文の文章を素早く要約したりするなど、すぐに役立つ機能も提供されている。もしこれらが便利だと感じたら、今お金をかけてなるべく早くAIを活用し始める価値があるかもしれない。 この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。