[特集/欧州戦線を変える新監督3人 01]クロップの偉大な遺産をどう活かす? スロットが加える“少しの変化”とは
継続するだけではない 攻守に少しの変化あり
とはいえ、なにも変わらないわけではない。アメリカ遠征中に「(新監督は)攻撃で少し違ったことを求めている。攻撃のトレーニングをたくさんしている」と言葉を残していたのは遠藤で、スロット監督のもと新しいトライが成されている。試合数が少ないいまはまだまだ未知数だが、アーセナル戦でオッと思わされるゴールがあった。 リヴァプールの攻撃はロバートソン、アレクサンダー・アーノルドの両サイドバック、サラー、ルイス・ディアスなどの両ウイングがサイドを崩し、チャンスを作っていくイメージが強い。中盤でマックアリスター、ショボスライがボールにからんだときも一度はサイドを使うことが多い。 アメリカ遠征でもサイドからのクロスをゴールにつなげるプレイがあった。一方で、アーセナル戦ではサイドに出すことなく、素早く中央を崩してゴールにつなげたプレイがあった。34分にカルバーリョが奪ったゴールで、ペナルティエリア外の中央やや右寄りでボールを持ったショボスライが左斜め前のエリオットにパスを出してそのまま縦に走る。エリオットがワンタッチでゴール方向に身体を向けると、ショボスライだけでなくカルバーリョも相手最終ラインの裏を取る動きをみせる。エリオットが選択したのはカルバーリョへのループパスで、抜け出したカルバーリョがゴールネットを揺らした。 この日、ショボスライはアンカーを務めていたが、エリオットにパスを出したあとに自分もゴール前に走り込んでいた。インサイドハーフはもちろん、アンカーにもこうした攻撃への意欲が求められるのが今季のリヴァプールで、中央を素早く崩すシーンがこれまでよりも多く見られるかもしれない。 スロット監督について問われた遠藤は、「昨シーズンまでのプレイを継続したいと思っているし、攻撃面で少し変えたいと思っていると言っていた。攻撃面だけでなく、守備面でも少し変えたいと言っていた」と答えている。継続性+攻守での少しの変化。これが今季のリヴァプールのテーマで、監督交代による混乱もなく、大きく崩れることはないか。