気鋭のマーケティング企業「刀」が、沖縄でアドベンチャートラベル会社を設立、その狙いと未来をトップに聞いてきた
ビジネス拡大への課題は多言語ガイド
現地開拓に加えて、OKINAWA ADVENTURESツアーの肝となるのが地元を知り尽くした「導き手」の存在だが、質の高いガイドを揃えるのはそう簡単なことではない。ビジネスをスケールさせていくためには、ガイドのインフラを整えていく必要がある。特にインバウンド向けには多言語ガイドが求められる。 「富裕層の求めるような質問とかリクエストに瞬発力を持って答えられるスキルが必要。海外の知的な人たちにどのように日本を魅力的に見せられるか」と立見氏。今後、ツアーを拡大していくうえでは、ガイドネットワークから人材を発掘していきたい考えだ。 また、立見氏は、アドベンチャートラベルの国内需要の把握も課題として挙げる。アドベンチャー・トラベル・トレード・アソシエーション(ATTA)によると、世界のアドベンチャートラベルの市場規模は70兆円を超えると言われているが、日本ではまだ市場が未成熟で需要も未知数だ。立見氏は「ハワイや欧州ではなく、日本のアドベンチャートラベルに対してお金を払う人たちは結構多いのではないか」と期待をかける。 そのうえで、販売は、代理店経由の販売モデルではなく、「直接顧客とコミュニケーションが取れる直販が理想」と話す。収益をしっかりと確保できる販売のためには、ターゲティングにも工夫が求められる。立見氏は、一例として「小中学校向けの高度な学習塾に子供を通わせている親をはじめとして、子供に特別な体験をさせてあげたいというニーズがあるのではないか」というアイデアをあげた。 現在は着地型の募集型ツアーだが、多彩なニーズに応えるために、将来的にはテーラーメイドツアーも視野に入れているという。
スピーディーに横展開を
立見氏は、「沖縄でも、例えば、宮古島や慶良間などの離島に行くとまたいろいろな可能性が見えてくる。北海道にも、東北にも、山陰にもと面白いところはたくさんある。しかし、地方の魅力はまだ発掘しきれていない。(国内外で)いろいろな日本の売り方が、まだまだある」と強調する。 その考えから、同社では沖縄で成功事例をつくったのち、スピーディーに横展開していく方針だ。「地域を味わえるような宿に泊まってお金を落としてもらう構造をつくれると、結果的にその日本を元気にすることができる」。 マーケティングとエンターテイメントで日本を元気にするという理念を掲げる刀社。沖縄アドベンチャートラベルは、リアルな現場である旅行の領域で、それを目指す。 聞き手 トラベルボイス編集部 山岡薫 記事 トラベルジャーナリスト 山田友樹
トラベルボイス編集部