「自己責任」が重すぎる──増える「子どもがほしくない20代」 #性のギモン
「子どもに優しく」を法制化すべき
『子育て罰 「親子に冷たい日本」を変えるには』の共著がある教育行政学が専門の末冨芳さん(日本大学文理学部教授)は、子育て費用の家族負担が大きすぎると指摘する。政府が子どもや家族への支出を十分に行っていないという構造的な課題を解決しない限り、子どもを育てやすい社会にはならない。 「今の日本社会は、所得が低い若い世代が子どもを持つことが難しく、中間所得層以上の人しか子どもを持てない構造になっている。そこを変える必要があります。また、日本社会全体に『子どもには優しくしなければいけない』という明解なメッセージがないのも問題です。 たとえばドイツでは、『子どもの声は騒音ではない』と法制化されています。日本の地方自治体でも、『笑顔で子どもを見守る条例』などを制定すると、その自治体に住んで子育てしたい人が増えるかもしれない。逆にベビーカーを蹴ったりするのは迷惑行為禁止条例で、迷惑行為に指定されればいい。 職場のハラスメントも、防止法の施行によって、意識の変化が生まれつつあります。やはり法律や条例も、意識の変革を促すために大事です」
子育てのリアルな声が背中を押してくれる
若い人が、実際に子育てをしている人たちのリアルな声を聞く機会が少ないのも心配だという。SNSなどから情報を得ているだけだと、ネガティブな情報に引きずられがちだ。 「若いうちに先輩から、子どものかわいさや、大変な面もあるけど子育ては楽しいといったリアルな声に触れる機会があれば、意識も変わるはず。何か問題が起きたとしても、なにかしら解決方法があります。そういった情報も、もっと表に出てほしいですね」 --- 「#性のギモン」は、Yahoo!ニュースがユーザーと考えたい社会課題「ホットイシュー」の一つです。人間関係やからだの悩みなど、さまざまな視点から「性」について、そして性教育について取り上げます。子どもから大人まで関わる性のこと、一緒に考えてみませんか。