「自己責任」が重すぎる──増える「子どもがほしくない20代」 #性のギモン
2022年人口動態統計によると、合計特殊出生率は1.26。過去最低となった。また、2021年の調査で、18~24歳の未婚男女で「一生、結婚するつもりはない」と回答しているのは男性17.3%、女性14.6%。その人たちは、子どもを持つことも考えていない場合が多いだろう。
増えている「結婚はしたいけど子どもはムリかも」と考える女性
結婚に対しては積極的でも、子どもを希望しない女性も増えている。結婚相談所「結婚物語。」で仲人を務めている豊田さんによると、最近は事前のカウンセリングで、1割近い女性が「子どもを希望していない」あるいは「どちらでもよい」と回答しているという。一方、男性の多くは子どもを希望している。 「今は経済的な理由から、夫婦とも仕事をすることが結婚の前提になっています。女性は、もし相手が家事や育児をしてくれない人の場合、すべて自分にかかってくるという不安がある。 SNSの普及により、まわりと比べて不安になる会員も多いですね。塾にも行かせたい、いい大学にも行かせたいなど、『レベルの高い子に育てなければ』というプレッシャーを感じている人が多いようです。 女性は子どもが病気になった場合にどうするかなど、さまざまなケースをシミュレーションしますが、男性は具体的には考えていません」
2021年の調査によると、男性がパートナーに望むライフコースは「仕事と子育ての両立コース」が急増し、39.4%に。専業主婦コースを望んでいる男性は、わずか6.8%だ。一方、女性の「理想ライフコース」は「仕事と子育ての両立」が1位で34.0%。ただし、女性の「予想ライフコース」では「非婚就業」が1位で33.3%となっており、両立コースは28.2%にとどまっている。 理想は仕事と子育ての両立だが、理想通りにはいかないというのが女性の本音のようだ。そこに、男性と女性の意識の差がある。
母親への抑圧が強い社会が恐ろしい
結婚1年目の安田理奈さん(26歳・仮名)は子どもが好きで、実家に親戚の子どもが来ると、よく遊んであげていた。それでも自分が子どもを持つ自信はないという。 「母親に対する社会からの抑圧が強い。先日もベビーカーで電車に乗ってくるお母さんがいて、誰も車椅子・ベビーカースペースを空けないんです。別の日、子どもが泣いたら舌打ちした男の人がいました。あの空気感が恐ろしい。 『自己責任』という圧力も強い。自分が産んだというだけで、すべての責任を背負わなくてはいけないのは重すぎます。将来、私たち夫婦が歳をとったときに、老々介護になる可能性があります。子どもにも負担をかけることになるのではなど、不安材料が多すぎて。 それに私は小さい頃から『いい子でいなきゃ』と自分に言い聞かせてきたので、けっこう苦しかったんです。子どもを産んだら、自分がしてきたように、家族にとっても世間にとっても『いい子』であることを強要してしまいそうで怖いです」