年をとると朝、早すぎる時間に目が覚めてしまう3つの理由
夜の良質な睡眠は、私たちが健康のためにできる最も大事なことのひとつだ。しかし、睡眠不足が生活の質や長寿に対する大きな脅威となっていることが、研究で明らかになっている。睡眠不足は心臓疾患、認識機能障害、高齢者の認知症リスクの増加と関連しているという証拠が発見されたことで、睡眠は慢性疾患の苦痛を軽減する鍵になる可能性がある。 私たちは年をとるにつれて睡眠習慣に変化が生じることがある。眠りに落ちるまで時間がかかるようになったり、夜中に目が覚めてなかなか眠れなくなったり、明け方の早すぎる時間に目覚めたりというようなことだ。そこで本記事では、加齢が睡眠に及ぼす影響と睡眠の健康を改善する方法をご紹介しよう。 ■1. 睡眠パターンの変化 全米高齢者問題協議会が発行した新しい概況報告書によると、私たちは加齢によって睡眠周期と概日リズム(体内時計によって刻まれる約24時間周期の精神的・身体的状態の規則的な変化)が変動することが予想されるという。脳やホルモンの変化など、その要因はいくつかある。私たちの身体は加齢にともない成長ホルモンやメラトニン(脳の松果体から分泌されるホルモン)の分泌が減少し、それが睡眠の分断につながることがある。 また、加齢は脳の睡眠・覚醒サイクルにも影響があり、睡眠に入る時間帯を狭めてしまう。そのため、高齢者は眠りにつくのが遅くなり、朝はより早く目が覚めるようになることがある。加齢によって概日リズムが変化するからだ。高齢者の多くは、ノンレム睡眠のステージ3(最も睡眠が深い段階)とレム睡眠の時間が短くなるのを経験するため、布団に入ってから眠りに落ちるまでより長く時間がかかるようになったと感じるのだ。 睡眠パターンが変化しても、概日リズムを正しい状態に戻すように努力することはできる。夜、7~9時間の健康的な睡眠を取ることは、あらゆる年齢の成人にとって重要だ。ゆえに適切で継続的な睡眠衛生(生活習慣や環境などの眠りに関する問題を解消し、健康的な睡眠がとれるように条件を整えること)を実践することが、睡眠の質と連続性を改善するための第一歩となる。また、眠りに関する問題の根本原因を精査し、それらを解消するための解決策を定めることも必要になるだろう。