年をとると朝、早すぎる時間に目が覚めてしまう3つの理由
ポリファーマシー(多剤併用)も睡眠に悪影響を及ぼすおそれがある
■2. 生活習慣 生活は睡眠の質に著しい影響を及ぼす。たとえばストレス、精神衛生に関する問題、運動、特定の食品、カフェインやアルコールの摂取といった生活習慣の要素が、良質な夜の睡眠に入るための準備に影響を与える可能性があることが、複数の研究で示されている。また、加齢によって多くなり睡眠の質を低下させてしまう要素には次のようなものがある。 ・慢性的・肉体的な痛み ・心配、不安、憂鬱 ・睡眠時無呼吸症候群や夜間呼吸障害 ・夜間頻尿(夜間にトイレへ行かなければならない回数が増える) ・日光を浴びる時間の減少 ・運動量の減少 これらの要素の多くはコントロールできる。夜、適切な食事を摂る、睡眠の計画を立てる、就寝前に水分の摂取を控えるといったことを心がけ、睡眠障害の可能性があるなら睡眠検査などの専門的な処置を受けてみるのもいいだろう。さまざまな要因に一度に、あるいは一つずつ対処していくことも、よく眠るために役立つことがある。例えば、就寝前に紅茶を飲むことはリラックスする効果があるが、紅茶には自然の利尿作用があるため、夜間頻尿の要因となることもある。睡眠障害を防ぐためには、寝床に入る1~2時間前に紅茶などの飲み物を摂取するようにしたほうがよいだろう。 ■3. 薬の影響 調査によれば、高齢者の約半数がなかなか眠れなかったり、夜中に目が覚めてしまうことに悩んでいるという。これには、上述のような生活習慣や生物学的な要因に加えて、薬やそれらの相互作用が影響していることもある。 例えば、全米高齢者問題協議会の報告によると利尿剤、プロザックやセレクサなどの抗うつ剤、サダフェッド(プソイドエフェドリン)のような鼻づまり薬などを服用すると、眠れなくなることがあるという。ゆえに、このような薬を特に夜間に服用すると、問題を引き起こす場合があるので、医療提供者とよく話し合い、指示に従うことが必要だ。 もう一つのさらに大きな問題にポリファーマシー(多剤併用)がある。これは同時に5種類以上の薬を常時使用することであり、最近の調査によれば約46%の高齢者が、睡眠に悪影響を及ぼすおそれがあるポリファーマシーを経験していると推定される。 加齢に伴い薬を必要とする身体疾患が増えるため、高齢化が進めば複数の薬の服用は長期にわたる問題として残るだろう。ゆえに、服用するすべての薬とそれらの相互作用について、薬の量を減らす可能性も含めて、担当の医療提供者と話し合うことが、睡眠の質を高めるためには必要だ。
Sophie Okolo, MPH