うつ病を告白して全仏OP棄権の大坂なおみに激励と不安の声…“レジェンド”ベッカー氏は「引退の危機」と警鐘
記者会見拒否により騒動となっていた大坂なおみ(23、日清食品)がツイッターにて、長年「うつ病」に悩まされていたことを告白して全仏オープンを棄権した問題の波紋がおさまらない。4大大会が責任者の連名で「可能な限り支援したい」との声明を発表。スポンサーのナイキや日清食品なども今後も支援して姿勢を明らかにした一方で、4大大会で通算6勝をマークしドイツ黄金時代を築いた“レジェンド”ボリス・ベッカー氏(53、ドイツ)は「引退の危機にある」と警鐘を鳴らした。
4大大会は一転「意義のある改善を目指す」と声明
大坂の衝撃の棄権声明から一夜明けても波紋はおさまらない。 1回戦の勝利後に大会規定に反して記者会見を拒否した大坂なおみに対して全仏オープンの大会主催者は1万5000ドル(約165万円)の罰金を科し、4大大会も、2回戦以降も記者会見拒否を続けた場合、「より厳しい制裁を受けることになる」と、大会からの追放や、さらなる罰金、今後の4大大会への出場停止処分の可能性があることさえ示唆した。だが、大坂が、記者会見を拒否した背景に2018年の全米オープンから苦悩していた「うつ病」を告白して棄権を表明したことを受けて、4大大会は、責任者の連名で、「大坂選手がコートを離れている間、可能な限りのサポートと支援を提供したい。大坂選手は非常に優れたアスリートであり、彼女が適切と考える時期に復帰することを期待している」との新たな声明を発表した。 大坂はツイッターで「大会の規則を時代遅れに感じていたし、それを強調したかった」と記者会見のあり方に問題提起。「今後より良い方向性を話し合っていきたい」と訴えたが、4大大会側も「メンタルヘルスは難しい問題であり、我々は最大限の注意を払わなければならない。なおみが自らの言葉でプレッシャーや不安を語ったことを称賛し、選手が直面している独特のプレッシャーに共感している。選手の幸せは最優先事項。我々は、WTA、ATP、ITFとともに、メンタルヘルスと幸福を促進するために、さらなる行動を起こしていきたい。スポーツには、選手が他の選手よりも不当に有利にならないようなルールや規制が必要。我々は、選手、ツアー、メディア、そしてテニス界全体と協力して意義のある改善を目指す」と約束した。 この背景には大坂の棄権表明に対して、多くの選手や有名アスリートが賛同、激励の声を発信した事情もあるだろう。 また記者会見を拒否した大坂に必要以上のプレッシャーをかけた大会主催者に対する批判の声も多く聞かれた。 英のガーディアン紙は「大坂が声明で言及したように、彼女は多くのメディアと良い関係にあり、彼女の率直さが皮肉にもいつも記者会見の価値をもたらす根拠となってきた。選手の何人かは記者会見場での思いや不快感を家まで持ち込み、それは当然、メンタルヘルスに影響を与えた。加えて、大坂は黒人とアジア系の女性として、白人男性が主要な聞き手となる会見で何年にもわたり心地よくない多くの質問を受けてきた」とした上で、全仏の主催者と4大大会の対応をこう強烈に批判していた。 「4大大会側は大坂にかつてない処罰を負うか、彼女が出席拒否を宣言していたメディア対応をするかの選択を迫った。そうしたプレッシャーを受けて彼女の棄権は第3の選択肢となった。仏テニス連盟のジル・モレトン会長は、会見でうつ病がまるですぐに治る怪我のように、大坂の『一刻も早い回復』を願った。そして彼は声明を読み上げただけで、質問に1つも応じることなく立ち去った。結局のところ、彼らの態度は、支配を維持したいだけで、人的損失に対して興味のない古い団体であることを示していた」