大坂なおみが記者会見拒否問題の影響に配慮して全仏OPを棄権…会見拒否の真意と背景にあった“心の病”を告白
テニスの全仏オープンに出場している大坂なおみ(23、日清食品)が1日、自身のツイッターを更新し、2日に予定されていた2回戦を棄権することを表明。大会主催者も会見を開き正式に大坂の棄権を発表した。 日本時間の1日午前3時頃に長文をツイッターに掲載した大坂は「みなさん、私が数日前に投稿した時には想像もしていなかった状況となっています。トーナメントや他の選手、そして私自身にとっても、今は、私が棄権してパリで行われているテニスに(選手の)みなさんが集中できるようにするのがベストだと思っています」と、棄権の意思を示した。 大坂は5月27日に全仏オープンで試合ごとに設定されている記者会見を精神的な負担などを理由に拒否する考えを発信。ノバク・ジョコビッチや錦織圭らの大会参加選手が、大坂の会見拒否宣言に対してのそれぞれの意見を述べるなど大きな波紋を呼んでいた。 大坂は5月31日の1回戦では、パトリシア・ティグ(ルーマニア)にストレート勝ちしコート上での勝利インタビューには応じたが、記者会見は、宣言通りに拒否。大会主催者は義務づけられている記者会見を欠席した大坂に対し1万5000ドル(約165万円)の罰金を科し「メディアに対応することは選手の責任であり、スポーツ、ファン、そして自分自身のために選手が負うべきもの」との声明を発表。 また4大大会の共同声明として、2回戦以降も会見拒否を続けるのであれば、「より厳しい制裁を受けることになる」と大会からの追放や4大大会への出場停止などの制裁が下される可能性さえ示唆していた。それらの声明後に、大坂はツイッターで「怒りは理解の欠如。変化は人を不快にさせる」と投稿。一度は“徹底抗戦”の姿勢を示していたが、今後、自身の会見拒否が、大会以上の注目を浴び、他の出場選手やテニスファンへ迷惑が及ぶことに配慮して会見拒否を撤回するのではなく、大会棄権という決断を下したものと考えられる。 また会見拒否の真意を問う声も多かったが、この日のツイッターでは、その背景に“心の病”があったことを明かした。 「私は2018年の全米オープン以降、長い間、うつ病に悩まされ、その対応に苦労してきました。私は人前で話すこと(会見)が得意ではなく、世界中のメディアに向かって話す前に大きな不安に襲われて大きなストレスになっていました。私を知っている人は、私が内向的であることをわかっているし、私がよくヘッドフォンをしていることも知っていたはずです。このパリの地で、すでに私は弱気で不安になっており、セルフケアをするためにも記者会見をスキップ(欠席)したほうがよいと考えました」と、記者会見拒否を宣言した理由を説明した。 また「記者のみなさんは私に親切だったし、私が傷つけたかもしれないジャーナリストのみなさんにも謝罪したいです」とも、つけ加え、大会主催者に謝罪の手紙を書いたことも明かした。 大坂は、ツイッターの投稿を「今はコートから少し離れますが、その時がきたら、ツアーと協力して選手、報道陣、ファンにとって、良くする方法を話し合いたいと思います。みなさんが元気で安全に過ごすことを願っています。みなさんを愛しています。また会いましょう」と、最後に赤いハートマークをつけて文書を締めた。 大坂の会見拒否問題は、賛否を呼んだ。プロである以上、大会規定で義務づけられている会見の拒否は許されないなどの批判的な意見も少なくなかった。だが、“心の病”を持っている選手が、記者会見に参加することに健康に支障をきたすほどのプレッシャーを感じているのであれば、なんらかの対処手段も必要なのかもしれない。 ツイッターで大坂は、「規則(会見出席の義務化)が時代遅れのものだと強調したかった」とも綴っており、記者会見に関してもメンタルケアの観点が加味される時代になっているとも言えるだろう。 大会主催者も大坂の会見拒否宣言から棄権を決断するまでに追い込まれた一連の騒動を深刻な問題提起として捉える必要がある。 全仏を棄権した大坂の次の目標は、6月下旬に開幕するウインブルドン。今回の問題でショックを受けた大坂のメンタルの回復も含めて、今後の復帰ロードが不安視される。