THE核心 日本初!阪神の2軍球場で導入するキナトラックスのモーションキャプチャーは大谷翔平も愛用
阪神が来年3月に開場予定の2軍新施設「ゼロカーボンベースボールパーク」にソニー社のスポーツ事業、キナトラックスのマーカーレス・モーションキャプチャーを導入することが30日、分かった。今月上旬、担当者が来日して、新施設を視察。日本初の取り組みを深堀りする。(取材構成・丹羽政善) モーションキャプチャーには光学式、機械式などさまざまなシステムがある。特撮映画やゲームの制作で人間の動作を再現する際は身体にマーカーをつけて動作解析を行うことが一般的。野球の世界でも少し前までマーカーをつけて投球、スイング動作を計測していたが、現在はセッティングも容易なマーカーレスが主流となっている。 キナトラックスのシステムはマーカーレスで、さらに球場に16台のカメラ(打者用8台、投手用8台)を設置し、試合中の動きを分析できる点で他とは異なる。大リーグ、マイナーリーグ、大学など、75以上の施設に導入されている。 用途はさまざまで、パフォーマンスの向上、故障の予防が中心だが、例えば1カ月前は好調だった投手が調子を落としたとする。その場合、1カ月前と今の投球動作を重ね合わせて、関節の動きにまで落とし込んで、違いや修正点を導き出す。 ドジャースの大谷の場合は今季、構えを安定させるために利用していた。バンスコヨック打撃コーチは「翔平は構えを大切にする。しかし、構えは相手の攻めによって微妙に崩される。インサイドの球が多くなれば背筋が伸びてしまう。そうなると外角低めの球が遠く見え、ストライクがボールに見えてしまう」と分析し、大谷も「構えが安定すれば、ストライクゾーンがしっかり把握できる」と語っていた。 おそらくキナトラックスのシステムで課題となるのは膨大なデータを処理し、的確に選手にフィードバックする体制作りか。投球や打球の軌道を分析するトラックマン、ラプソードなどは瞬時にデータを取得できるが、キナトラックスのデータを得られるのは最短でも翌朝。それもシステムに精通したバイオメカニストがいてこそ可能だ。 最初は運用に戸惑うことも予想されるが、日本初という意義は大きい。