ショック敗退のフェデラーが猛暑に拍車のスタジアム構造欠陥を指摘して波紋
テニスの全米オープン、男子シングルス4回戦で第2シードのロジャー・フェデラー(37、スイス)が世界ランク55位でノーシードのジョン・ミルマン(29、オーストラリア)に6-3、5-7、6-7、6-7で逆転負けする大波乱が起きた。猛暑の中、ミスを連発して全米オープンで初めてノーシード選手に敗れたフェデラーが、試合後に「空気の循環が悪くなった」と、暑さに拍車をかけているスタジアムの欠陥を指摘したため、その敗因を巡り海外メディアの間で波紋が広がっている。 英国BBCは「フェデラーが4回戦の敗戦後に『息ができなかった』と明かす」との見出しで、ショッキングな敗戦を伝える中、「アーサー・アッシュ・スタジアムで2016年に完成した開閉式の屋根を大会主催者は開けていたが、フェデラーは(屋根の)設置がコートの空気の循環を落としていると信じている」と報じた。 フェデラーは、BBCに「コンディションによって今年はプレーが遅くなっている。(汗で)湿ったパンツ、すべてがびしょ濡れだ。ボールも同じ。でも、プレーをしなければならない。ウィナーを打とうとするが、すべてのスピードが落ちる」とコメントした。 英国のエクスプレス紙も「フェデラーが全米オープンでのショッキングなミルマンへの敗戦で、脱水状態に陥るような会場の湿気を呪う」との見出しで、「フェデラーは対戦相手のオーストラリア選手(ミルマン)が、ブリスベンに居を構えていることから暑さにより慣れていると信じているようだ。フェデラーは77のエラーを出した質の落ちたプレーを(会場の)空気の循環が欠けていたせいだとして非難した」と、報じた。 米のヤフースポーツは「フェデラーが全米オープンでの驚愕の敗戦で、湿度、空気の循環の悪さを呪う」との見出しを取り、「息ができなかった。空気の循環が全くなかった。このようなことが起きたのは初めてに近い。(ミルマンは)この地球でもっとも湿度の高い場所の1つ、ブリスベンから来たから(対応できた)かもしれない」というフェデラーの試合後の談話を掲載した。 その上で、「フェデラーはアーサー・アッシュ・スタジアムの屋根が空気の循環の点で華氏120度(摂氏約48.9度)の日中の試合とも変えてしまっていると繰り返し主張した」と伝えた。 ニューヨーク・クイーンズ区のフラッシング・メドウのUSTAビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニス・センター内にある世界最大のテニス専用競技場であるアーサー・アッシュ・スタジアムは、1997年に開場。2016年に開閉式の屋根を取り付け、同年の全米オープンから使用されたが、フェデラーは、その年はひざの怪我で欠場。昨年も、アルゼンチン選手のフアン・マルティン・デルポトロに準々決勝で敗れており、フェデラーにとって新しい開閉式の屋根がついたスタジアムは鬼門となっている。 記事は欠陥を指摘されたスタジアムについて、「空気循環が建設トップの懸念」とし、「空気循環は、フラッシング・メドウズの(屋根建設の)プロジェクトにかかわった関係者によって考えられる懸念の1つだった」と暴露。さらに「新しい施設が完成したとき、建築家のマット・ロセッティ氏は、tennis.comで『率直に言って、空気の循環から始まる。基本計画において、一番の懸念は空気循環だった。この問題を解決しなければ何も解決できないだろう。観客にとっての快適な建物は、その部分から始まる』と話していた。選手たちにとっては、どうだろうか。世界2位のフェデラーは懸念を初めて共有したスター選手だ」と指摘した。 またフェデラーから大金星を挙げたミルマンも「今年の全米オープンは、湿度で汗が滴り、ラケットの握りも滑って、残った選手たちにとって厳しい状況となっている」というコメントを残している。