中国・四国地方はどうやってできたの?世界のプレートの動きを解説
◆陸の作られ方 ここで世界のプレート分布を見てみよう(図1-4)。各プレートが様々な方向へ様々な速度で移動していること、プレート境界は、拡大境界、沈み込み境界、横ずれ境界に分類できることがわかるだろう。 沈み込んだ海洋プレートが放出した水によりマントルの一部が溶け、そのマグマによって密度の小さい地殻ができたり、もしくは地表に溶岩や火砕物が噴き出る(火山の噴火、図1-5)。また、一部の海洋プレートの沈み込み境界では、プレートに載って運ばれてきた堆積物や海溝に流れ込んだ砂などが、海溝の陸側にくっついて押し上げていく(付加作用:図1-5中の□部分)。そして、さらに、地殻が横方向から圧縮されると盛り上がる。以上が、陸を作る代表的な作用として挙げられる。そして極端に高い山の存在は、大陸地殻どうしの衝突によるものだ。現在もインドとユーラシア大陸は押し合っており、その結果、険しいヒマラヤ山脈がそびえ立つ。 陸を構成する地殻は地球全体で考えると密度が小さく、マントルに浮いている存在である。 仮に陸の表面が削られ少々薄くなったとしても、マントルとの新たな均衡を保つように陸が浮き上がる。そのようなわけで、雨風がせっせと陸を削ろうとも、地球に陸は残り続けているというわけだ。
土地の地質を見てみれば、先に挙げたどの作用により陸になっているか、知る手がかりになる。たとえば、地質図Naviの親サイト「20万分1日本シームレス地質図V2」(以下、シームレス地質図V2)で四国と中国を見てみよう。ここから、四国の南半分はきれいに東西に延びる付加体の縞でできていることがわかる(図1-6上)。すなわち、南半分は海溝の陸側にくっついた付加作用でできたものだ。南に行くほど岩石の年代が若くなることから、のちの時代にくっついたものとわかる。 一方、中国はがらっと変わり、付加体の分布は限られ、昔のマグマ溜まりやマグマ溜まりから噴出した火成岩類(図1-6下)からなっており、おもにマグマの働きによりできた陸であることがわかる。このようにわれわれが生活の舞台とし日々踏みしめている大地は、場所によってでき方やできた時代が大きく異なる。 ※本稿は、『日本列島はすごい――水・森林・黄金を生んだ大地』(中公新書)の一部を再編集したものです
伊藤孝