「人間は幸せにならないようにできている」―自分の好きなように生きる清水ミチコが大切にすること
テレビ・ラジオの出演をはじめ、コラムの連載やライブ活動など精力的に活動する清水ミチコさん。2020年4月に立ち上げた自身の公式YouTubeチャンネルでの活動が評価され、昨年は「第13回伊丹十三賞」を受賞。コロナ禍でも新たなチャレンジを続ける清水さんだが、年を重ねるに連れて「あきらめが早い方がうまくいく」と実感しているという。そう気づいたきっかけや、「弱さをさらけ出した方が人とのつながりを生む」と語る理由について聞いた。(聞き手:荻上チキ/TBSラジオ/Yahoo!ニュース Voice)
YouTubeは「義務」じゃない―自分の好きなようにやっている
――「伊丹十三賞」は時代を切り拓く斬新かつ本格的な人や作品に贈られる賞。受賞の連絡がきた時はどんなお気持ちでしたか? 清水ミチコ: 自分の携帯に「受賞しました!伊丹十三賞です!」って電話がかかってきた時、最初は「絶対に詐欺だ」と思いました。というのも、女優の友人から「助演女優賞を受賞しました。あなたの母校に出版物や写真集を寄贈できるので、これから言う口座番号に30万円入れてください」という詐欺があったことを聞いたばかりだったので。「この電話番号をどうやってお知りになりましたか?」って聞いたら「南伸坊さんから聞きました」って言われて、本物だと分かりました(笑)。 ――ご自身のYouTubeチャンネルの視聴者層とかはチェックされていますか? 清水ミチコ: 見たことないです。Twitterとかでエゴサーチをしていた時代もあったんですけど、褒められると「もっとこの人の期待に沿うようにしよう」と思ってしまう自分がいて、これじゃいかんなと思って一切やめたんですよね。そしたら、すごく生きやすくなったので、あまり人の意見を気にしないようにしています。YouTubeも意見や反応を気にするより、「自分が好きなことをやっていれば誰かついてきてくれるかな」という感じでやっているんです。 やっぱりどんなに好きなことでも、やりすぎると仕事になっちゃう。以前、オアシズの光浦靖子さんと森三中の黒沢かずこさんと私の弟と一緒に石垣島に釣りに行った時、地元の漁師さんがたくさん釣れる所に連れて行ってくれたんですけど、途中で漁師さんに「もうやめよう!」って言われたことがあって。「なんで?すごく楽しかったんですけど」って言ったら「これ以上やると仕事になるんだ」って言われて、なるほどと思いましたね。きっと毎日一生懸命やっていると義務になってしまって、嫌になってくるんですよね。 たぶん、五輪で活躍するような選手も、最初は無邪気にそのスポーツをするのが純粋に楽しかったからやっていただけだと思うんですよね。でも、だんだん義務になってきて、自分との戦いがそこから始まるんだろうなって感じがします。特に日本の選手は、メダルが取れなかったときに「国民の皆さまに申し訳ない」みたいなことを言うじゃないですか。こんなに若くて一生懸命な子がかわいそうにって思うこともありますよね。恵まれているのにもったいない。