「女子アナは会社が成長するための手段」報道キャスター長野智子がフジテレビに感謝する理由
1985年、フジテレビにアナウンサーとして入社し、バラエティを中心にさまざまな番組で活躍した長野智子さん。当時「女子アナパッケージ」として売られたことは功罪ありつつも、会社と自分はWin-Winの関係だったと振り返ります。一方、私生活では47歳まで不妊治療に取り組み、「仕事を休んで不妊治療に集中すれば良いのに」と仕事との両立に悩み苦しんだ時期もあるという長野さん。女性のキャリアや生き方についてお話を聞きました。(聞き手:荻上チキ/TBSラジオ/Yahoo!ニュース Voice)
会社と女子アナはWin-Winの関係
フジテレビの“女子アナ”として活躍していた長野さん。現在はジャーナリストとしての活動に加えて、女性議員の数を増やし、政治における男女間の格差を是正するための「クオータ制」の実現に向けて勉強会を開催するなど、ジェンダー問題にも取り組んでいる。 ――女性のアナウンサーのみを「女子アナ」と呼び、タレント扱いされてしまう風潮について、どのように感じますか? 長野智子: 誤解を恐れずに言うと、私自身「女子アナ」と呼ばれることは実は好きなんですよ。「女子アナ」は企業が利益を上げるためのパッケージだったと思うんですよね。私は80年代のフジテレビに入社して「女子アナ」としてバラエティに出演させられてガンガン売られましたが、その頃からフジテレビは右肩上がりの成長をして上場したわけです。会社が成長するための一つの手段だったと受け入れている部分があるんですよね。 同時期入社の男性アナウンサーがテレビに出られなかった時期に、自分がゴールデンのバラエティに出ていたことはその後の仕事をしていくうえで良かったことかもしれないし、会社にも感謝しています。会社とWin-Winだったことは認めざるを得ません。 ただ、女子アナパッケージのような売り方を続けることで、社会の女性に対する考え方や見え方がいつまで経っても変化しないのは良くないですよね。ステレオタイプの功罪が両方あると思います。 ――女子アナは若い方の起用が目立ちますが、年齢は関係すると思いますか? 長野智子: 特に女子アナの場合「30歳定年問題」と言われることもあります。私や同世代の女性アナウンサーも30歳になると、お仕事がどんどん少なくなっていって、新しく入社してくる女性アナウンサーが仕事を引き取っていく変化を如実に感じました。今、私は50代後半ですけど、あまりにもわかりやすく出られなくなるんだなというのはすごく感じますね。自分としては納得できないし、もうちょっと何かいろんなことをやりたいという気持ちもあるのに、って思います。 女性に限らず、若い方が重宝されるだけではなくて、積んできたキャリアや経験が活かされたり認められたりする場所があってほしいですよね。