元関脇・寺尾の錣山親方が患っていた「うっ血性心不全」の症状・原因とは? 医師が解説
大相撲の元関脇・寺尾の錣山(しころやま)親方(福薗好文さん)が、17日に死去したことを日本相撲協会が明らかにしました。60歳でした。 1979年に初土俵を踏み、2002年39歳で現役を引退。引退後は年寄・錣山を襲名し、2004年に錣山部屋を開設。幕内・阿炎らを育てました。 心臓のポンプ機能が弱くなり、息切れや手足のむくみ、倦怠感などの症状が現れる病態に心不全があります。そのうち、肺やそのほかの臓器にうっ血が起こるものを「うっ血性心不全」と呼びます。 悪化すると命に関わることもある病気です。そこで、うっ血性心不全の症状や原因、治療方法などを解説します。 ※この記事はMedical DOCにて『「うっ血性心不全」とは?症状・原因・治療についても解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
うっ血性心不全とは?
編集部: うっ血性心不全とはどのような病気ですか? 甲斐沼先生: うっ血性心不全とは、体の中で血液が滞留したために、肺やほかの臓器などに静脈血が滞っている状態の心不全です。うっ血性心不全になると、息切れや動悸、激しい咳、手足のむくみ、倦怠感、呼吸苦などの症状が現れます(腎障害が合併すると、乏尿傾向になる場合もあります)。 虚血性心疾患、高血圧、心臓弁膜症などさまざまな心臓の病気が原因となって起こります。うっ血性心不全の重症度はNYHA心機能分類で4段階あり、比較的症状の軽いⅡ度から疲労や動悸、呼吸困難などの症状を自覚して、身体活動が制限されるのが特徴です。 編集部: うっ血性心不全と心不全は違うのですか? 甲斐沼先生: そもそも心不全とは、何らかの原因で心臓のポンプ機能が弱くなり、全身に十分な量の血液が送れない状態です。うっ血性心不全とは、この心不全のくくりの中にある一つの病態を指します。 心不全は起こり方や進行速度により急性心不全と慢性心不全に分かれます。一般的に「うっ血性心不全」といえば、慢性心不全の急性増悪状態です。 慢性心不全は、体内に水分とナトリウムが過剰に蓄積されることで、手足などにむくみが現れます。すると、さまざまな機能が本来の役割を補って血圧を維持しようと働きます。そのため、心臓の負担は大きくなり、心不全を悪化させるのです。