元関脇・寺尾の錣山親方が患っていた「うっ血性心不全」の症状・原因とは? 医師が解説
うっ血性心不全の受診科目
編集部: うっ血性心不全の症状があれば何科を受診すればいいですか? 甲斐沼先生: 胸の痛みや動悸など気になる症状があれば、循環器内科や心臓血管外科を受診しましょう。息切れや咳などの呼吸器の症状と区別できない場合は、まずはかかりつけ医で相談してみましょう。
うっ血性心不全の検査
編集部: うっ血性心不全ではどのような検査を行いますか? 甲斐沼先生: 心不全の疑いがあれば以下の詳しい検査を行います。 ・血液検査 ・胸部レントゲン検査 ・安静時心電図検査/ホルター心電図検査 ・心エコー検査 ・運動耐容能検査 ・トレッドミル運動心電図検査 ・運動・薬剤負荷心筋シンチグラフィ検査 ・心臓CT、心臓MRI ・心臓カテーテル検査 このような検査を行うことで、心臓の機能を評価することができます。それぞれの結果を元に適切な治療を行います。
うっ血性心不全の治療法
編集部: うっ血性心不全はどのような治療を行いますか? 甲斐沼先生: うっ血性心不全では、薬物療法、CRT(心臓再同期療法)、補助循環治療などの治療を行います。それぞれの治療法を解説します。 編集部: 薬物療法ではどのような薬を使用するのですか? 甲斐沼先生: 薬物療法では、血管拡張作用のあるACE阻害薬やARBなどの薬、体の水分を減らす目的で利尿剤などの薬を使用します。徐脈の場合をのぞき、交感神経の働きを抑える目的でベータ遮断薬を使用することもあります。 編集部: CRT(心臓再同期療法)とはどのような治療法ですか? 甲斐沼先生: CRT(心臓再同期療法)とは、心不全により心臓のポンプ機能が低下している患者さんに対して、心臓の動きが遅れたところを電気で刺激して心臓の動きを整え、ポンプ機能を改善させる治療法です。 編集部: 補助循環治療ではどのようなことを行うのですか? 甲斐沼先生: 補助循環治療では、IABP・PCPSなどの補助循環を使用して、一時的に心臓を休ませて機能を回復させます。VADと呼ばれる補助人工心臓を使うこともあります。60歳以下で心不全を起こしており、ほかに有効な治療法がない場合には、心臓移植を検討します。