[特集/欧州戦線を変える新監督3人 03]これまでになく若く、そして強い! フリックが完成させるはエナジー溢れる次世代バルサ
やはりカギを握るのはFW、MFの「2+4」の運動量と強度。引き込んで守るのは不向きなメンバーでもあり、運動量と機動力が問われることになる。ペップ時代の、ボールを失ってからの「5秒ルール」を徹底させられるかどうか。当時は、攻撃時のボール支配力の高さが高速トランジションと強度の裏づけになっていた。それを現代でいかに再現するかはハンジ・フリック監督の手腕にかかってくる。ボール支配率が平均で70%近くに到達しない場合は、運動量に期待できる若手が起用されていくのかもしれない。 全体の印象としてはEURO2024で優勝したスペイン代表に近くなるだろう。スペイン代表メンバーのラミン・ヤマル、ダニ・オルモ、フェラン・トーレス、ペドリの存在もあるが、戦術の設計がかなり似ているからだ。むしろ、スペイン代表をさらに煮詰めて濃いめにした感じが今季のバルサが目指すところになるのではないか。 「ベイビー・バルサ」の躍動がシーズンのメンバー構成にどれほどの影響を与えるかはわからない。開幕すれば実績のある選手が中心になるだろう。ただ、プレイの骨格は若手が示したものを踏襲していくことになり、シーズン中に何人かがレギュラーポジションをつかんでいても不思議ではない。新陳代謝の活性化はポジティブな変化であり、エネルギッシュな若々しいバルサは従来とは少し違う印象を与えるだろう。新鮮な印象。ハンジ・フリック監督によってもたらされる変化の第一になりそうだ。 文/西部 謙司 ※電子マガジンtheWORLD(ザ・ワールド)第296号、8月15日配信の記事より転載
構成/ザ・ワールド編集部