芥川賞受賞の村田沙耶香さん「人間をもっとユーモラスに、慈しむように」
第155回芥川賞・直木賞が19日夜、発表され、『コンビニ人間』で芥川賞を受賞した村田沙耶香さん(36)は「奇跡のようでまだ信じられず、ふわふわしていますが、うれしいです」と喜びを語った。 【中継録画】第155回 芥川・直木賞、受賞者の記者会見
村田さんは、初のノミネートで受賞。受賞の連絡が来たのは、担当の編集者といつも通りの話をしていた時だったという。 タイトルの通り、『コンビニ人間』の舞台は、コンビニエンスストア。自らもコンビニでバイトをするという村田さんは、「コンビニは、私にとっての聖域なので小説にすることはないと思っていましたが、なぜか急に書いてみようと思いました。それが良いことかどうかはわかりませんが、ずっと働いてきたコンビニへの愛情を作品にできたことはよかったと思います。コンビニという愛着のある場所が、小説家として見つめ直した時に、グロテスクなものになる感じが面白かったです」と話した。 コンビニには、この日も出勤し、「忙しい日だったので、普段通り頑張って働きました」と笑顔で話した。コンビニの店長は、村田さんが小説を書いているとは知っているものの、くわしくは伝えておらず、芥川賞へのノミネートも「多分知らないと思います」。 受賞作にはユーモアが感じられる、との指摘に対しては、「いつか、人間をもっとユーモラスに、慈しむようなまなざしで書いていきたいという思いがありました。ずっと書きたかった小説で、それを初めて実践してみた小説かもしれません」と回答。 最後に「本当にありがとうございました。この場所に来れるとは思っていなかったので本当に嬉しいです」と改めて喜びを語った。 村田さんは、2003年に『授乳』で第46回群像新人文学賞優秀作を受賞してデビュー。『ギンイロノウタ』で第31回野間文芸新人賞、『しろいろの街の、その骨の体温の』で第26回三島由紀夫賞をそれぞれ受賞している。