【最終予選「前半戦6試合」徹底総括】森保ジャパンが"完全体"へ進化するために必要なこと
「世界と戦う上でベストの布陣は冨安と伊藤を含めた4バックでしょう。中央もサイドもできるこのふたりがいれば、試合中に3バックへとシステムを変えられます。 また、冨安と伊藤は組み立てにも参加できるので、彼らがDFラインに入れば、ボランチの守田英正(スポルティング)も前に出やすくなって攻撃に厚みが出るはずです」(垣内氏) プレミアリーグの強豪アーセナルに所属し、誰もが実力を認める冨安だが、近年はケガに泣かされ続けている。 「冨安は2019年のアジア杯以降、2021年の東京五輪、2022年のカタールW杯、今年のアジア杯と国際大会でフル稼働できていません」(ミムラ氏) 垣内氏は冨安離脱を前提に、守備陣の底上げを期待する。 「次のW杯でも冨安の全試合出場は難しい、と想定しておくほうがいい。その場合、特に課題なのは冨安が務めることの多い右サイドです。ほかの選手のレベルアップを期待したいですね」(垣内氏) 課題の右CBだが、11月シリーズのインドネシア戦では橋岡大樹(ルートン・タウン)、中国戦では瀬古歩夢(あゆむ/ラスホッパー)が任された。 「いい意味でサプライズだったのは瀬古です。プレー面で及第点だっただけでなく、メディアに対して仲間のいい部分を口にしつつ、サブ組の悔しさも表現するなど、キャラクター面でもチームに好影響を与えています」(ミムラ氏) チームへの影響という意味では、最終予選で出場機会を得られていなかった菅原も外せないという。 「3バックでは個性が出しにくく、なかなか出番が回ってきませんでしたが、チームを盛り上げるムードメーカーとして、森保ジャパンに欠かせない存在。途中出場したインドネシア戦でゴールを決めましたが、本人も期するものがあったはずです」(垣内氏) 最終予選から森保ジャパンに復帰したものの、ここまで一度もピッチに立てていない長友はどうか?
「8月に来日したインテル時代の友人、元イタリア代表アントニオ・カッサーノが長友と再会後に自身のYouTubeで『長友は次のW杯に出て引退するつもりだ』と語っていました。 長友本人はけむに巻いていましたが、苦しいときこそ声を出せる長友の存在はやはり別格です。1年半後のW杯メンバー入りも十分ありえるでしょう」(垣内氏) ■組み合わせに悩むシャドー&サイド 続いて、中盤について深掘りしていこう。 冒頭で名前が挙がった堂安、鎌田以外で目を引くのは、オーストラリア戦でベンチ外の遠藤航(わたる/リバプール)に代わってキャプテンマークを巻いた守田だ。 「欠場した中国戦では、代わってボランチで出場した田中碧(あお/リーズ)と試合後に話し込む姿がありました。守田を中心にチームの課題を共有している印象です」(ミムラ氏) 守田といえば、アジア杯敗退後に「森保監督批判」とも取れる発言で物議を醸した。 「守田も世間や代表を騒がせてしまった自覚があるようです。以前よりも責任感が増し、プレー面でもそれが感じられます」(ミムラ氏) その守田とボランチを組むのは誰なのか? 本来は遠藤のはずだが、リバプールで出場機会がない点がネックだ。 「潰し役が必要な場合はやはり遠藤の存在が欠かせません。その役回りで『ポスト遠藤』といえるのが佐野海舟(マインツ)です。佐野はボールを奪うだけでなく、そこからの推進力もある。今の代表にはいないタイプです」(垣内氏) 佐野は今年7月に不同意性交容疑で逮捕され、その後、不起訴となった経緯がある。 「ポスト遠藤はずっと課題でしたが、佐野が戻ってこられるなら有力候補です。ブンデスリーガではスプリントやプレス回数など、さまざまなスタッツがトップ10入り。期待値は大きいです」(ミムラ氏)