”孤独な宰相”石破の頭を悩ます「八方塞がりの外交政策」USスチール問題まで手が回るはずもなく…
ウクライナと中東で戦火が止まないまま、2025年の幕が開けた。今年の世界はどうなるのか。多くの波乱要因が考えられる。 【一覧】「次の首相になってほしい政治家」…上位に入った「意外な議員」 また、少数与党で国会運営に苦労する石破首相は、無事に政権を維持していけるのか。日本の政治もまた、大きな岐路に立っている。
いよいよ1月20日、トランプ就任で…
1月20日に、ドナルド・トランプが第47代アメリカ大統領に就任する。トランプは、バイデン政権との違いを際立たせようとしている。 内政では、不法移民対策と物価高対策などの経済政策が最優先課題となる。 不法移民に対しては、直ちに国外に追放すると言っている。しかし、不法移民が、労働力不足を補っている面もあるし、安価な賃金で働く彼らが、アメリカ経済を支え、物価高の歯止めになっていることもまた忘れてはならない。 さらに、関税を引き上げ、外国製品の流入を阻止すると公言しているが、それは輸入品の物価を高騰させ、物価を押し上げることにつながるのではないか。高関税は、中国をはじめ、世界中の国との軋轢を増し、貿易戦争となることが危惧される。
「トランプの講話」はどうなるか
外交・安全保障については、まずは、大統領選挙中に「自分が当選したら、24時間以内にウクライナ戦争を終わらせる」と公言していたトランプが、その公約をどう実現するのかが問われる。 トランプが停戦交渉に乗り出すことを前提にして、ロシアもウクライナも戦闘を激化させている。少しでも有利な状況で停戦交渉に臨むためである。 ロシアは、東部のドネツク、ルガンスク地域を占領し続け、できれば併合したい。クリミアについては、ロシア領として確定済みとの立場を維持する。ウクライナのNATO加盟は認めない。 一方、ウクライナは、クリミア、そしてロシアが占領する東部地域を取り返す。ロシア軍の撤退を求め、NATOに加盟する。EUにも加盟する。 両者の主張は真っ向から対立しており、何らかの妥協点を見いだすのは容易ではない。 ロシアは、核兵器を保有し、天然ガスや石油、小麦のような食糧資源にも恵まれており、継戦能力を維持している。北朝鮮軍の兵士も投入している。これに対して、ウクライナはNATOからの支援がなければ、戦争を続けることはできない。NATO の盟主はアメリカである。さらには、ウクライナ国民の間に厭戦気分も高まっている。 アメリカの共和党議員の中には、ウクライナへの支援に消極的な者もおり、バイデン政権の支援予算にブレーキをかけたことは記憶に新しい。 「トランプの講和」は、ロシアに有利に進められるのではないか。