”孤独な宰相”石破の頭を悩ます「八方塞がりの外交政策」USスチール問題まで手が回るはずもなく…
イランとの関係改善はあるのか
ガザをはじめとする中東の紛争については、最終的にはアメリカとイランとの関係が鍵になる。 トランプは親イスラエルである。ガザでのハマスとの戦闘は既に決着がついている。レバノン南部に拠点を置くヒズボラは弱体化され、イスラエルとの停戦の余儀なきに至った。イスラエルによるイエメンのフーシ派への攻撃も続いている。 そのような状況は、シリアのアサド政権の崩壊につながった。シリアのアサド政権が民主化要求に屈しなかったのは、ロシアの支援があったからであるが、そのロシアの独壇場を許したのは、アメリカのシリアからの事実上の撤退であり、それを進めたのは1期目のトランプ政権であった。 1979年のホメイニによるイスラム革命以来、イランとアメリカの間で、緊張関係が続いている。ハマス、ヒズボラ、フーシ派を生み、育て、支援しているのがイランである。第一次トランプ政権は、米英独仏中露がイランと締結した核合意から、2018年5月に一方的に離脱した。バイデン政権なっても、アメリカの核合意への復帰はなかった。 トランプは、イランとの関係を改善する方策を持っているのであろうか。
日本にもさらなる負担を強いてくる
アメリカの最大の競争相手は中国である。軍事、経済などあらゆる分野で両国は世界の覇権を争っている。 EVについては、BYDなど中国車が世界を席巻している。トランプは60%もの高関税を武器に中国を封じ込めようとしている。しかし、それは、先述したように、アメリカに物価高ももたらすという副作用を伴う。 台湾有事についても心配である。建国100年の2049年までには、中国は台湾を統一する意向であるが、それが平和的手段で可能かどうかは分からない。東アジアの安全保障について、トランプは日本にもさらなる負担を求めてくるだろう。 中国の習近平政権は、トランプの対中強硬策を念頭に、1年前から準備を進めてきた。「目には目を歯には歯を」という姿勢で、貿易戦争などに対応する予定である。すでに、中国商務省は、アメリカの28の企業や団体について、軍民転用が可能な物資の輸出先として禁止する決定を下している。