席の選び方や用語解説まで、初心者に教えるプロ野球の楽しみ方。
西澤 でもオギリマさんは東京育ちだから、広島のチームを応援するのって少しハードルが高くなかった? オギリマ 確かに周りに応援仲間はおらず、球場にもそうそう行けないし平成の初めゆえ情報も少ない。でも自分で気に入って選んだチームなので、静かに熱量を持って応援してました。近所の書店に雑誌『月刊ザ・カープ』を毎号取り寄せてもらい、熟読するのはもちろん、選手のイラストを描いて読者ページに投稿していたんです。 西澤 すごい。のちにイラストレーターになる原点がそこにあるんだ。 オギリマ 巨人ファンの頃から、練習場に見学に行っては選手の絵を描いていたのですが、自分の投稿が雑誌に採用されることで、カープが自己表現の場に変わっていったんです。今はたまに球場に行くし、それも当然楽しいのですが、決して現場至上主義ではなく、それ以外の部分でもカープやプロ野球を楽しみたいというか。 西澤 ファンだからってずっと試合を追ってなくてもいいんだよね。私も長男を出産した2004年前後はベイスターズがどん底の時期で、胎教によくないって野球は全然観なかったもん。でも何年か経って筒香嘉智(つつごうよしとも)(5)という未来のスターが入団した時に一気に引き戻され、子どもたちも巻き込んでまた応援するようになりました。 【5.筒香嘉智】 地元横浜高校から2010年ベイスターズ入り。強打でチームを引っ張り’16年には本塁打王。日本で205本塁打を放ち’20年からメジャーリーグに挑戦。現在はアメリカのマイナーリーグや独立リーグで奮闘中。
球場に行かずとも楽しめるコンテンツがいっぱい。
オギリマ 最近はCSやBS、見逃し視聴や繰り返し視聴ができる配信サービスでほぼ全試合観られます。地上波テレビの中継が巨人戦ばかりで、『プロ野球ニュース』や『ズームイン!!朝!』でやっていた「プロ野球いれコミ情報」で流れるわずかなカープ情報を必死に追っていた頃を思うと、いい時代になったなって。 西澤 あとは一つのテーマをマニアックに掘り下げるNHKの『球辞苑』や、『速報ドラフト会議 THE運命の1日』、年末恒例の『プロ野球戦力外通告』(6)とか、少し変わった目線の野球番組も好き。紙媒体だと、シーズン前には12球団の選手名鑑とチームのイヤーマガジンは必ず買うよね。 【6.プロ野球戦力外通告】 毎年年末にTBS系列で放映されるドキュメンタリー番組。その年に在籍していたプロ野球チームから戦力外通告を受けた選手に密着し、苦悩や奮闘する様子、それを支える家族たちの姿が描き出される。 オギリマ 情報収集にはSNSも欠かせません。カープはX(旧Twitter)のアカウントがないのですが、地元広島の新聞や放送局のカープ関連アカウントをフォローすれば大丈夫。 西澤 ベイスターズは親会社がIT企業なのでSNS発信に積極的だし、独自のモバイル有料コンテンツも情報満載なんです。 オギリマ カープも「カーチカチ!」という公式アプリの有料コンテンツの情報量が半端ないです。雑誌やそうしたコンテンツに多少課金すれば、得られる情報が一気に増えますよね。 西澤 あと、グッズ選びも楽しい。 オギリマ カープの場合、ネット通販でもいいのですが、東京だと銀座の広島のアンテナショップ『TAU(たう)』でもカープグッズ(7)が買えるんです。ベイスターズはアパレルがおしゃれですよね。 【7.カープグッズ】 とにかく目立つのが特徴。東京ドームや神宮球場、ハマスタなど関東の球場でもカープ応援席は真っ赤に染まり、圧倒される。ライセンスグッズが幅広く、生活用品すべてをカープグッズで揃えるのも可能との噂。 西澤 応援系グッズとおしゃれ系(8)アパレルがあって、おしゃれ系は何度か〈BEAMS〉とコラボしたりも。初心者はそういう普段使いできるウェアやキャップのほうが入りやすいかも。 【8.おしゃれ系】 セレクトショップとのコラボのほか、ハマスタに近い横浜・日本大通りには、日常生活で使いたくなるような良質な雑貨や洋服、趣味のグッズを揃えた『+B(プラスビー)』というライフスタイルショップまである。 オギリマ でも今はどのチームのファンもレプリカユニフォーム(9)を着こんで球場へ向かう電車に乗ってますよね。お年を召した夫婦同士で着ていたりすると微笑ましいなって。 【9.レプリカユニフォーム】 1980~’90年代は不良チックな法被が野球応援ウェアの主流だったが、2000年代前半からこれが主流に。選手と同じユニフォームを着ることでより一体感を感じられ、応援にも熱がこもるかも?