結局、エビデンスが存在する<ダイエットに有効で安全に使えるサプリ・食品>とは何か?スポーツ栄養学専門家が成分・効果を解説
◆特定保健用食品の効果 (2)トクホなど 特に認可されているものは、研究の成果もしっかりとあると考えられます。 ・中鎖脂肪酸(MCT; Medium chain triglyceride) サラダオイルタイプで見られる、長鎖脂肪酸の代わりに中鎖脂肪酸を使った製品であり、これは体内で体脂肪として蓄積しにくく、エネルギーとして燃えやすいのが特徴とされている。 ・高濃度茶カテキン 緑茶タイプの飲料であり、エネルギー消費と脂肪燃焼を高める作用があるとされる。 ・ウーロン茶重合ポリフェノールおよびコーヒー豆マンノオリゴ糖 小腸での脂肪分解酵素リパーゼの阻害作用により脂肪の吸収を抑えるとされる。 ・大豆タンパク、キトサン コレステロールなど血中脂質の改善効果が認められる。
◆カフェインやカプサイシンの効果 (3)その他 ・カフェイン スポーツサプリメントにも見られるが、中枢神経の興奮作用によって脂肪燃焼を助けたり、また利尿作用も見られるので減量に使われることがある。 ・カプサイシン 唐辛子の辛味成分であり、動物実験では中枢神経系に作用し副腎髄質からのアドレナリンの分泌と褐色脂肪細胞の活性化によってエネルギー代謝を亢進するとされる。 ・カルニチン スポーツでしばしば使われるサプリメントであり、細胞内のミトコンドリアに長鎖脂肪酸を取り込むときに不可欠な成分。もともと肉類に多く含まれているため、ベジタリアンのアスリートには有効とされる。動物実験では運動との併用により体脂肪が減少することが報告されている。 ・ガルシニアエキス(ヒドロキシクエン酸) 東南アジアの柑橘類の果皮に含まれる成分であり、糖質から脂肪を合成する酵素ATPクエン酸リアーゼを阻害する働きが知られている。特に炭水化物をよく摂取する民族には有効とされる。しかし、厚労省の研究により、ラットに高濃度を投与することにより精巣の萎縮が見られたという報告があり、その内容に不安を覚えた男性が使用しなくなって、日本での販売はしぼんだ。 ・ギムネマ・シルベスタ 中国、インドなどに分布する常緑つる性植物であり、古くから糖尿病の症状に使われてきた。「糖分の吸収を抑える」とされるが、十分な根拠は得られていない。 ・コエンザイムQ10(CoQ10)、α-リポ酸 スポーツサプリメントとしても抗酸化物質としての効果が期待されている。
◆ダイエット系健康食品・サプリメントの分類 このように、いくつかの成分は研究されていますが、大別すると下図のように分類することができます。 基本的には、何らかの食品がブームになってもあまりすぐに飛びつかず、健康被害がないかを確認できた上で、興味があれば自己責任で使ってみるということになるでしょう。 安全性・有効性情報については、国立健康・栄養研究所の情報ページも参照してください。 ※本稿は、『一般教養としてのサプリメント学』(草思社)の一部を再編集したものです。
杉浦克己
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