イスラエル、UNRWAとの協定破棄を国連に通告 活動禁止法案巡り
イスラエルのカッツ外相は4日、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の活動を認める協定の破棄を正式に国連に通告したと明らかにした。UNRWAはイスラエル軍の戦闘が続くパレスチナ自治区ガザ地区で避難民に人道支援を提供しているが、イスラエル政府の協力がなければ支援が続けられなくなるとみられ、人道危機に拍車がかかるのは必至だ。 イスラエルはガザ地区のイスラム組織ハマスの戦闘員がUNRWAに雇用され、昨年10月のハマスの越境攻撃にも参加していたと主張してきた。イスラエル議会は10月28日、UNRWAの活動を禁ずる法案を可決。3カ月後に発効する予定で、完全に履行されれば、UNRWAは「いかなる活動」もできなくなる。 カッツ氏はX(ツイッター)での投稿で「テロ活動に染まっておらず、UNRWAの代わりとなる他の国際支援組織はすでにある。イスラエルは国民の治安を守りつつ、国際法を尊重する」と主張した。 国連のドゥジャリク報道官は4日、人道支援のみならず教育や医療も提供してきたUNRWAに「代替する組織はない」とする従来の立場を強調。イスラエルからの書簡の内容を法律の専門家と詳しく検討しているとした。 ガザ地区では約190万人が避難生活を送っており、UNRWAが避難所の提供や食料の配布などを続けてきた。このため、イスラエルの法案を巡り、国連機関や国際人権団体から「(ガザの人道状況にとって)致命的な事態になる」との批判が相次いでいた。【カイロ金子淳、ニューヨーク八田浩輔】