「投票率が上がれば社会は絶対に変わる」ジェンダーギャップの解消は私たちの世代で
1904年3月8日。アメリカの女性たちによる参政権を求めるデモをきっかけに、女性の地位向上を呼びかける動きが世界中に広がりました。政治分野におけるジェンダーギャップの解消を目指すムーブメント「FIFTYS PROJECT」代表の能條桃子さんと、2023年の統一地方選挙で立候補し、当選した国分寺市議会議員の鈴木ちひろさんに、FIFTYS PROJECTの役割や未来に向けたアクションについて伺いました。 【画像】FIFTYS PROJECTの活動
ハラスメントは自分のせいじゃない。社会が変わらなきゃいけないこと
──前編のお話ではポジティブな面が多かったということですが、2023年の活動報告では、残念ながらセクハラを含むハラスメントが起きていたことも数字で示されていました。実際に選挙を経験し、議員として現場に立たれている鈴木さんは、ハラスメントやバッシングにどう向き合っていらっしゃいますか。 FIFTYS PROJECTのメンバーが活動中に受けたハラスメント行為 71.4% 性別に基づく侮蔑的な態度や発言 71.4% SNS、メールなどによる中傷、嫌がらせ 52.4% 性的、もしくは暴力的な言葉(ヤジを含む)による嫌がらせ 47.6% 年齢、婚姻状況、出産や育児などプライベートな事柄についての批判や中傷 42.9% 必要以上に身体を近づける、身体に触れるなど過度な接近 42.9% 身体的暴力やハラスメント 33.6% 交際経験、性体験などプライベートな事柄についての質問や発言 28.6% 個人的な連絡先の交換や私的なメッセージのやり取りの要求 ※出典:FIFTYS PROJECT/社会調査支援機構チキラボ「統一地方選挙に出馬した女性候補者が体験した制度課題および社会課題についての調査」(2023年8月) 鈴木さん 例えば、選挙前も今も、朝に駅前で活動をまとめたニュースを配布するのは一人でも大丈夫。明るいし、人がいっぱいいるし、通勤前の忙しい時間帯だから、あまりハラスメントに遭うことはありません。でも、夕方の帰宅時間になると皆さん疲れているし、お酒を飲んでいる人もいて周囲も暗いから、一人で駅前に立つのは難しいのも事実です。何人かスタッフがいても女性だけだと危ないので、必ず男性に来てもらうようにしています。 なかには「こんな社会が悪いんだ。だから私は屈しないで一人でも夜の駅前に立つ」っていう人もいるかもしれないけど、私はやっぱり怖いし、何かあってからじゃ遅いので。ただ、今の時点ではそうしているけれど、これは自分が悪いわけではなくて、社会がもっと変わらなきゃいけないことだと考えています。 能條さん 現場を見たり、みんなの話を聞いたりして感じるのは、本当にひとつひとつが心を折ってくるんですよね。この社会に根付いている女性蔑視、例えば会社で男性しか昇進できないといった差別もあれば、女性だから街中で絡まれるとか、選挙で街頭に立つにも警察署の前にしか立てないとか、組織の中でセクハラがあるとか…意欲を持った人たちの心を挫いたり、棘をさしてくることってめちゃくちゃあるんだなと。しかも、有象無象に起こるから対策の取りようがない。 未来の候補者を育てる意味でも、選挙ボランティアに参加するアクションはすごく大切だと思う一方で、ボランティアもハラスメントに遭うケースがあります。議員へのハラスメント問題は話題に出るようになったけれど、その先にいるボランティアスタッフの被害についても考えていく必要があると改めて思いましたね。