「投票率が上がれば社会は絶対に変わる」ジェンダーギャップの解消は私たちの世代で
投票率が上がれば絶対に社会は変わっていく
鈴木さん 私がFIFTYS PROJECTに期待する役割のひとつは、投票率を上げること。政治に不安や不満を感じる人や期待を持てない人たちを見ていると、政治についての話を「無視する」「考えないようにする」結果、「選挙に行かない」っていう人が本当に多くて。 そこに、FIFTYS PROJECTみたいに楽しそうで面白そうで、若い人たちがやっているちょっとおしゃれな運動体があることで、「ちょっと選挙行ってみようかな」と思う人が少しでも増えてくれたらいいなと。選挙に行っていない人たちが投票して、投票率が上がれば、絶対にこの社会はよくなるし、変わっていくはずだと私は思っています。 もうひとつは、引き続き女の子たちをエンパワメントしてほしい。ジェンダー差別が根深い日本で女性として生まれると、大人になるにつれてどんどん自己肯定感とか自信を失って「自分は価値がない人間だ」と考えてしまいがちだし、その実感もあります。でも本当はそんなことない。それは自分の責任じゃなくて、社会が変わらなきゃいけないことだから。 能條さん 本当にそこだよね。 鈴木さん そして、社会を変えるチャレンジは誰がしてもいい。女の子でも性的マイノリティの人でも、みんなが「自分でもやっていいんだ」と思えるような社会にしたいし、FIFTYS PROJECTがそういう人をエンパワメントする存在であり続けてほしい。私も、次世代の女の子やさまざまなマイノリティの人のために、できることは何でもやりたいと思っています。 能條さん うん。私も、みんなに2期目をやりたいと思ってもらえるように頑張ることが自分の役割だと思ってる。 鈴木さん 最後に、これは私自身もやらなきゃと思って考えているんですけど、選挙にまつわる経験やデータの蓄積もFIFTYS PROJECTにぜひ期待したいです。組織や政党に所属していない人が選挙で勝つのは本当に難しい。誰でも候補者になれるけれど、それを支える人が必要なんです。事務をやってくれる人、必要な小物を制作してくれる人、記録やデザインをしてくれる人が必要だし、そういう人たちを取りまとめる選挙参謀というかリーダーみたいな人も実はすごく大切。 候補者に伴走しながら精神的にも寄り添いつつ、大局観を持っていろんなことが見られる人を育てていくには、選挙にまつわる蓄積=集合知が必要だと思います。さまざまな候補者を通じて選挙の集合知が持てたら、一時的なムーブメントとしてではなく、未来のことを考えながら選挙で勝てるようになるんじゃないかなってずっと思っています。 FIFTYS PROJECT代表 能條桃子 2019年に若者の投票率が80%を超えるデンマークに留学し、若い世代の政治参加を促進する「NO YOUTH NO JAPAN」を設立。Instagramで選挙や政治、社会の発信活動をはじめ、若者が声を届け、その声が響く社会を目指して、アドボカシー活動、自治体・企業・シンクタンクとの協働などを展開。活動を続ける中で同世代の政治家を増やす必要性を感じて「FIFTYS PROJECT」を立ち上げる。『TIME』の「次世代の100人 2022」選出。「アシタノカレッジ」(TBSラジオ)、「堀潤モーニングFLAG」(TOKYO MX)出演中。 国分寺市議会議員 鈴木ちひろ 1996年、神奈川県生まれ。フェリス女学院大学学生時代から日本語教師として活動。日本語教師として赴任した奄美大島で環境問題に関心を持つ。都市農業や湧水、地域通貨を持つ国分寺に惹かれて移住。同市のオーガニックカフェ「カフェスロー」スタッフや重度障害訪問介護ヘルパーの仕事を続けながら、新人議員として奮闘中。関心のあるテーマは気候危機とジェンダー。お祭りと漫画が好き。 ■note https://note.com/chihiro_bunji 写真提供/能條桃子・鈴木ちひろ 画像デザイン/坪本瑞希 前原悠花 構成・取材・文/国分美由紀