「クルマが大きいほど安全……」というわけではない、調査結果
多くの自動車購入者は、SUVの車体が大きいほど事故による負傷を避けやすいと考えて購入している。しかし、より大きい車両が必ずしも最も安全というわけではないことを示す調査結果がある。米国の非営利団体である道路安全保険協会(Insurance Institute for Highway Safety)が実施した側面衝突テストでは、大型車が深刻な側面衝突時に乗員をどの程度保護できるかについては、性能にばらつきがあることが明らかになった。 同協会のエイドリアン・ランド会長は次のように述べている。「正面衝突に関しては、標準エアバッグの普及や車体構造の改良、安全ベルトの使用率向上などによって、大きな進歩が見られます。一方で、SUVやピックアップトラックの販売増加により、乗用車間の車高の差が拡大し、多くの車が側面から衝突を受けた際のリスクが高まっているのです」 もっとも、車両の側面だけが懸念材料というわけではない。以下に、SUVを購入する際に考慮すべき5つのポイントを挙げる。 ■1. 転倒リスクが高い SUVはセダンや小型車より重心が高いため、急なカーブや衝突時に横転しやすい傾向がある。横転事故は特に危険で、他の事故形態と比べて死亡率が高いとされる。 ■2. 制動距離が長い SUVは車体が大きく重量もあるため、完全停止までに長い距離を要することが多い。緊急時に急ブレーキをかける局面では、追突事故や接触事故を起こすリスクが高まる。セダンや2ドア車などの小型車からSUVに乗り換える場合は、前方との車間をより長めに保つ必要がある。 ■3. 安全過信 SUVの大きさや車高の高さがもたらす安心感によって、運転者が過信してしまうことがある。過剰な安心感は注意力を低下させ、慎重さを欠いた運転行動につながりやすい。CMや広告ではたいてい、高速走行したりスピード感を演出したりしているが、出演しているのはプロのドライバーであり、一般の人は無敵の存在ではないことを忘れてはならない。 ■4. 取り回しの悪さ SUVは小型車よりも車体が大きく重いため、障害物を避けたり、予期せぬ事態に素早く反応したりする機動性に欠ける傾向がある。悪天候下や高速走行時の急な回避行動では、とりわけハンドリング性能の低下が問題となる。 ■5. 歩行者や自転車、他の車へのリスク増大 SUVは衝突時に乗員を保護する性能が高い一方で、その重量と車高の高さにより、歩行者や自転車、小型車にとっては大きなリスクをもたらす。車体前面が高い構造だと、衝突を受けた側の重傷や死亡の可能性が高まる。 もっとも、適切な注意と心構えがあれば、ヒヤリハットすら経験することなくSUVを運転することができる。安全運転を心がけよう。
Josh Max