厳しい叱咤に…周りから「きつく言うなよ」 名門校で“伝統の14”継ぐ逸材の苦悩「悩みました」
「積み上げてきた僕らの5原則をしっかりと披露したい」
インターハイ予選を境にチームは劇的に変わった。全員が攻撃と守備の意識を持ち、ボールを奪われたら石井を中心に即時奪還をして、2次、3次攻撃につなげていく。インターハイ予選後のプレミアEASTでは6勝2敗2分の成績で、下位から一気に5位に浮上。プレミア3連勝の中で今予選を迎えた。 初戦となった準々決勝の前橋商業戦こそ、プレミアと県予選の戦い方の違いに戸惑い、延長戦の末になんとか勝ちを掴んだが、準決勝ではプリンスリーグ関東1部に所属する県内最大のライバル・桐生第一に3-0の快勝を収め、4連覇に向けてあと1つとなった。 「僕はみんなに言う分、攻守において5原則を一番体現できる選手にならないといけないと思っています」 その言葉どおり、桐生第一戦でも躍動を見せた石井は、9日の共愛学園との決勝戦に向けてこう口にした。 「インハイ予選準決勝で負けているので、リベンジの気持ちをみんな持っている。絶対に勝って、その後のプレミアリーグ、選手権へとつなげたい。これまで積み上げてきた僕らの5原則をしっかりと披露したいと思います」 1年間で心身ともに逞しくなった前橋育英の背番号14。これは石井自身のパーソナリティーによるものか、それとも14番という伝統が彼を強くさせたのか。その答えは間違いなく両方だ。前橋育英の心臓となった彼は、まだまだ自分に試練を科しながら残りの高校サッカーを駆け抜ける。
FOOTBALL ZONE編集部