実は底堅い日本株 考えられる3つの要因 “世界同時引き締め”からの逃げ場に?
(3)中央銀行が金融緩和姿勢を維持・強化
また(3)の中央銀行の政策スタンスも重要です。米国の連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ退治が最優先課題となっており、株価の下落に配慮する余裕はありません。マイナス金利導入の「盟友」であるユーロ圏は、7月の欧州中央銀行(ECB)理事会における利上げが現実味を帯びています。 現在の市場金利は7月ECB理事会における0.3%の利上げ実施を織り込み、年末までに(現在▲0.5%とされている)マイナス金利の撤回を想定した水準にあります。そうした折、18日はレーン・フィンランド中銀総裁が「比較的早期にマイナス圏を脱却し、段階的な金融政策正常化のプロセスを継続することが必要に思われる。それが私個人の見解だ」とした上で「私だけではない。ECB政策委員会の私の同僚の多くが示唆していることでもある」として、金融市場の利上げ織り込みを追認すると、この発言を受けて欧州金利は上昇しました。 このような政策スタンスの変化によって金融環境が緩和的でなくなりつつある中、欧州株は投資対象としての魅力が失われつつあります。その他では英国、オーストラリア、カナダなど先進国中銀が押し並べて金融引き締めを実施しています(例外はスイス中銀)。 こうした世界同時引き締めをよそに日銀は金融緩和を強化しています。4月の金融政策決定会合で導入された「常設指値オペ」(10年物国債利回り0.25%で毎営業日買いオペ実施)は事実上の追加緩和であり、これは金融市場で度々浮上する緩和修正観測を徹底的に封じ込める意図が感じられました。こうした「封じ込め政策」は、世界同時引き締めからの逃げ場を探すグローバル投資家にとって魅力的に映るでしょう。
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