増え続けるネット依存とゲーム依存。デジタル時代を生きる子どもたちと親の正しい関わり方とは
――デジタルネイティブとして生まれてきた現代の子どもたち。 保護者の立場から言えば、幼少期からネットやゲームに触れさせる弊害を恐れる一方で、デジタルテクノロジーを使いこなせるようになって欲しいと願う側面もあり、一切子どもに触れさせない、という選択もむずかしいところ……。子どもとインターネット、そしてゲームはどう付き合わせるのが正解なのか。児童精神科医の宇佐美政英先生に、弊害や対応策などについてもお伺いしました。 テレビゲームが子の害になるかは親次第!ゲームを活かす3つのポイントとは【漫画】
ネットやゲームの問題点はまず「時間が奪われてしまうこと」
一番の問題点についてはまず、動画を見たりゲームをしたりしていると時間がなくなるんですね。 昔であれば、例えば「野球やろうぜ」となったら、人を集めて場所を決めて、みんなで公園に行って……と手間がかかっていたのが、ゲームなら電源を入れたらすぐできるんです。テレビも、昔は「つまんないニュースだな」と我慢しながら見たい番組を待ったりしていましたよね。でも今は、動画でもなんでもキュレーションが効いているので、自分の興味のあるものがどんどん出てくる。ゲームだって楽しむように作られているんですから、そりゃ楽しいに決まっているんですよね。 いつでもどこでも思い立ったらすぐにできて、楽しくてなかなかやめられない。となったら、時間はいくらあっても足りません。 ――現代の子どもたちはネットで何をしているのでしょうか。表1を見ると、どの年代でも「動画視聴」と「ゲーム」の割合が高いことがわかります。 満10~17歳の1日の平均利用時間は約4時間半で、前年度と比べて1時間、2年前と比べると1時間20分以上増加しました(※1)。 ※1 1日の平均利用時間(満10~17歳)は263.5分。 内閣府「令和3年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果」による
うまく付き合うためには、ネットもゲームも「最初が肝心」
ネットもゲームも最初の入り方が大事で、「知らぬが仏」なんです。 夜にネットがつながるなんて、子どもは、当分の間は知らないほうが幸せです。やれば楽しいゲームを存分にやらせた後に「それはダメ」と言っても、楽しいことを覚えてしまってから子どもが自分でコントロールするのはむずかしいのです。昔のように親の目を盗んでリビングでテレビや深夜ラジオを聴く時代ではないのです。布団の中に入った後もスマホがあればいくらでも楽しく遊べると知ってしまってからでは、いくら僕らがプロだと言われてもやめさせるのは大変です。 なので、覚える前の「最初が肝心」なんですね。 子どもの頃からスマホをいじることも、必要な時代になってきていると思っています。ただし「ルールをしっかり決めて、それを守ってさえいれば」です。 例えば「病院の待ち時間だけ」とか「1日1時間だけ」と決めているのであれば、そのルールは変えないほうがいいです。例外を1回つくってしまうと、どうしても楽しいほうに流れてしまいますから。 また、親と子の「画面を見ている時間」というのは相関しているんですね。四六時中スマホを見ている親の子どもはやはり四六時中スマホやタブレットを見ていることが多いわけです。タブレットに子守りをさせて親がスマホを見ていたら、子どもだってずっと見てしまいますよね。