編集部おすすめ! メキシコが舞台の傑作映画5選!
伝説の銃を手にするのはいったい誰だ!?『ザ・メキシカン』
はじまりは一本の奇想天外な脚本だった。これに心底惚れ込んだプロデューサーは知名度の低い俳優を起用して低予算で映画化するつもりだったのだが、どこからかブラピとロバーツが脚本の噂を聞きつけ「ぜひやりたい!」と名乗りを上げ、事態はトントン拍子で進み出すことに。かくも多くの映画人を虜にした本作は、”メキシカン”と呼ばれる曰く付きのアンティーク銃をめぐって争奪戦が繰り広げられるクライム・コメディ。ブラピはギャングの命令でこの銃を回収するためにメキシコへ飛び、恋人役のロバーツは全く別行動でラスベガスへと車を走らせる中、この銃をめぐる二重三重の陰謀に巻き込まれてしまう。 人気絶頂期の二人の共演ゆえ、彼らのやりとりも大きな見どころなのだが、それ以上に、殺し屋役のジェームズ・ガンドルフィーニが添える絶妙な存在感が素晴らしい。ロバーツと行動を共にする中で愛の指南役となり、守護天使にもなって彼女を守るその姿。ラストで思いがけない名優が登場するなど、隠し球をいろいろ秘めた快作である。
巨匠イニャリトゥの快進撃はここからはじまった!『アモーレス・ペロス』
『バードマン』(2014年)でアカデミー賞作品賞オスカーを獲得したイニャリトゥによる、今や伝説となった初監督作。当時の彼はテレビプロデューサーやラジオDJなどの多彩な仕事ぶりで知られていたそうだが、初めて挑んだ本作で巨匠級の重厚さ、そして破壊力と獰猛さをスクリーンに刻み、最後にはしっかりと胸熱くさせるラストへと集約させていくのだから本当に凄い。この人はまさに映画監督になるべくしてこの世に生まれた人なのだろう。 舞台はメキシコシティ。オムニバス形式の第一話目は、闘犬をめぐって飼い犬が頭角を現し、第二話では事故で大怪我を負ったモデルの女性が不倫相手の家で療養生活を送り、第三話では無数の犬を引き連れた浮浪者姿の暗殺者が、生き別れた娘との再会を願う。すべてのエピソードは自動車事故によって一つにつながるのだが、そのエネルギッシュかつスマートな語り口にも舌を巻くばかり。亡くなった我が子に捧げて作られたという背景を踏まえて鑑賞すると、本作への理解がより深まるに違いない。